#時計の針
いつから、その刻む針を
無意味と感じるようになっただろう···
彼女が眠るように時を刻むのを止めてからだろうか?
ちょうど目線の高さにある時計を眺めても
秒針の音さえ聞こえない。。。
買い取ってくれるなら売ってやるよ··········こんな人生
彼女が愛した街
彼女が好んで使っていたマグカップ
彼女がいつも座っていたイス
彼女が愛してくれた······自分
彼女だけが取り残されて
重ねていく時間
憎くて、憎くて、憎くて、、、愛しい
今日もまた時を刻む
#逆行
上の階へと向かう階段の最中
窓からのぞく眩しいほどに刺す夕日
思わず涙が滲んだ······
階下から名前を呼ばれ、
振り向きざま違和感のないよう涙を拭った
#ゆずの香り
寒さがまし、キツく合わせるコート···
あまりの寒さにふっと入った喫茶店
店内の暖かさに、先に入っていた客が
思わず脱いだ。
その時、香ってきたのは
#手を繋いで
······ザザンッ ザザンッ·····
寄っては引き返す
あの頃よくふたりで来ていた
手を繋ぎながら波打ち際を歩く
今日も、ふたり
ハンカチに包まれた骨と、私
#落ちていく
落ちていく·····
落ちていく······
〖離婚してください〗
落ちていく······
落ちていく······
〖私が結婚したのは農家の人じゃない〗
落ちていく·····
落ちていく······
〖このまま行けば一番の出世頭じゃないですか〗
落ちていく······
落ちていく······
〖あぁなったらもう上ってこれないゎ〗
落ちていく·······
落ちていく·······
付属していたものしか見てくれなかった人たち
ずいぶん高いところまで上っていた自分
あんなに遠くまで······、
ずいぶん無理をしていたらしい
登りはもう疲れた。
次は周りを見渡してみよう。