#モンシロチョウ
家庭菜園で植えていたキャベツを
すべて食べられた。
#忘れられない、いつまでも。
ちりん、ちりん...。
この家は季節に関係なく軒先に風鈴がある。
涼やかな音に反応して目を開ける。
まだ少し朝晩は肌寒いが、機嫌のいい
お昼間はぽかぽか陽気で昼寝には最高だ。
そういえば、こんな日だったかもしれない
はじめてこの家に来たのは···
前住んでいたところは気がつくと
ご飯が出なくなった。
あんなに毎日家にいたおばあちゃんが
帰ってこなくなった。
お腹が空いてて、のどが渇いて、淋しくて
たくさん鳴いた、鳴いて、鳴いて、泣いて....
声が渇れてもうダメだと思ったとき、
あなたが優しく掬い上げてくれた。
あの時のことは忘れない、いつまでも。
#一年後
一年後の今ごろ、
成人なんだよね。
大人になるって
どう言うことだろうね?
わたしのなにかが
変わるのかな?
変わるとしたら何だろう?
答え合わせとか出来るのかな?
#初恋の日
これは夢だ。
はじめてアイツを好きだと自覚した日
家が隣同士で、幼馴染みと言うやつだ。
子どもの頃からケンカが絶えなかったけど
高校まで一緒の腐れ縁
ちなみに男子校だ。
自分でも驚いてるさ。
でも、ストンと収まるところに
収まった心地もしてる。
あれは、高2の時
あの頃は、周りに合わせて
付き合っていた子もいた。
女子は敏(さと)い
こちらの気持ちがいつになっても
自分の方に向かないことに腹を立て
こっぴどくフラレた。
自業自得だ。
でも、アイツはものすごく怒ってた。
分かりにくいけど、コイツは凄ぇいいやつなんだ!!
何て、こっちが恥ずかしくなること
平気で言いやがる...
思わず自覚しちまったじゃないか。
あれが初恋の日
あれから10年······明日は、アイツの結婚式だ。
#明日世界がなくなるとしたら、何を願おう
「とうとう私たちで最後ですね···。」
乗り込むロケットの閉まる扉を睨み付けるように見ていた後輩の一言だった。
人間は機械の進歩により驚くほどの発展を果たしたが同時に恐ろしいものも産み出してしまった。
AIだ!!初めはよき隣人等と称していたが、時代が進むにつれAIは〖人格〗〖感情〗〖機械の肉体〗を手に入れることに成功した。
もう、人間といったい何が違うのか...。
そして私たち人類はAIにより地球から追い出される。
明日世界が〖なくなる〗のではない、
私たちが〖ここ〗からいなくなるのだ。
あぁ、地球よ。
どうか本来の美しさを取り戻してくれ。
私たちは先祖の付けを払うだけだ···。
そうして、静かに涙する後輩の肩を引き寄せた。