一年中常夏みたいな服着てるくせに、
「秋服いいじゃん」って気付くから。
誰のために選んだと思ってるの。

【衣替え】

そのころころとした声が枯れるまで僕と遊び回ってよ。

【声が枯れるまで】

きみの今日の予定を訊くことすら怯えてしまうこの関係は何なんだろうね

【始まりはいつも】

きみの奔放に見えたものは全て脆い心を守る盾だった。
思っていたより人間なんだね。
お天使様にさよならをして、僕は二度と交わらない道を選んだ。

【すれ違い】

秋と聞くと物悲しい印象を受ける。
春や夏が変化、冬が飛翔だとすると、狭間にある秋は停滞の季節だからだろう。

枯れた葉を踏む音、蛹の殻が潰れる音、
苛立ったように乾燥した指の先を舐めて塾講師がプリントの束を捲る音。
わたしが秋を感じるときに、大抵そういうものが耳の奥で響く感じがして、
振るわない成績表を握ったままいそいそとうちに戻るその日のにおいまで思い出すことができる。

しかし、わたしは秋が嫌いではない。

青々とした晴空にこれから自分が行く道を重ねることで、
停滞したわたしの現実までもが呑気なものに思えた。

成人を迎えた今でも、そうして空を見上げることは変わらぬ息抜きとして根付いている。

【秋晴れ】