灯火を囲んで

灯火を囲んで
影達は語り合う
消えることの無い 夢の残り火を心に灯し
寒さも少し和らいだ気がした

冬支度

こたつを出した
君が居た去年の温度が 蘇る
君の定位置だった場所へ そっと足を入れてみる
まだ少し 温かい気がした

時を止めて

まだ話したこともない貴方の事を 夢に見た
手を繋いで キスをして
朝が来たら全て消えてしまう
眠ったまま 時を止めて

キンモクセイ

キンモクセイの香りがする
あの日の記憶が蘇る
君が｢好き｣と言った 唇の動き 切なく
僕は地面に積もった キンモクセイの花を 黙って見つめていた

行かないでと、願ったのに

行かないでと、願ったのに
嵐の夜に 君は僕に背を向けた
雨と涙の見分けも付かないまま
僕は叫び それは雷鳴にかき消された
嗚呼 愛していた