『優しくしないで』
私に優しくしないで
優しくされたら泣いてしまう
その優しさをうまく受け止められなくて
自分でもわからないままに涙が溢れてしまう
だけど人前で泣くことに慣れていなくて
相手を困らせてしまったと自己嫌悪に陥るの
だから優しさは知らないままでいい
弱い自分でごめんなさい
『何もいらない』
君には幸せでいてほしい
君が幸せでいられるのなら私は何もいらない
お金も、力も、自分の命でさえもなくなってしまってもかまわない
でも君が私のいない世界などいらないと
幸せになどなれないと
そう言うから
だから私は生きるのだ
君の幸せを守るために
私の願いを叶えるために
『幸せに』
君には「幸せになってね」なんて言葉は言いたくない
君のことを愛しているから
俺が幸せにすると
そう言いたい
自分がいないところでも君が幸せならそれでいいとかよく言うけれど俺は嫌だ
相手の幸せを素直に喜べないことにそれは愛と呼ばない
と言うのならこの気持ちは愛じゃなくていい
ただ君が幸せそうに笑う横で
俺も君に出会えて幸せだと笑っていたい
『ハッピーエンド』
もし何一つ不自由なく安全に過ごし
寿命を全うできることがハッピーエンドだというのならそんなものはいらない
それよりももっと劇的で何が起こるかわからない
そんなふうに生きていたい
結末がすぐそこだとしても構わない
ハッピーエンドのために今を生きているわけではない
今を楽しむために生きているのだ
『ないものねだり』
小さい頃早く大人になりたいと思っていた
食べたいものを食べ、欲しいものを買い、行きたいところに行く
そんな自由を手に入れたくて
だけど大人になった今
時間なんてものを気にせずに生きていた頃に
何でもできると夢見ていたあの頃に戻りたいと思う
何者にでもなれると信じていられた自由が欲しくて
小さい頃に欲しかったものを手に入れて
失ったものを手に入れたいと思ったときには
もうどうすることもできないところまで
進んでしまっていた