『ハッピーエンド』
もし何一つ不自由なく安全に過ごし
寿命を全うできることがハッピーエンドだというのならそんなものはいらない
それよりももっと劇的で何が起こるかわからない
そんなふうに生きていたい
結末がすぐそこだとしても構わない
ハッピーエンドのために今を生きているわけではない
今を楽しむために生きているのだ
『ないものねだり』
小さい頃早く大人になりたいと思っていた
食べたいものを食べ、欲しいものを買い、行きたいところに行く
そんな自由を手に入れたくて
だけど大人になった今
時間なんてものを気にせずに生きていた頃に
何でもできると夢見ていたあの頃に戻りたいと思う
何者にでもなれると信じていられた自由が欲しくて
小さい頃に欲しかったものを手に入れて
失ったものを手に入れたいと思ったときには
もうどうすることもできないところまで
進んでしまっていた
『特別な存在』
君はいつの日か私にとっての特別になっていた
君を思うと胸がドキドキするとか苦しくなるとかそういうわけではなく友人として
他の友人に対しては離れていても幸せならそれでいいと思うのに
君だけは私の手で幸せにしたいと思う
でもきっとそれは大きすぎる願いだから
せめて君がこれからも幸せであれるように
君が笑って過ごせる日々が続くように祈ろう
願わくば私の隣で
『夢が醒める前に』
もしもこれが夢だというのならどうか醒めないで
今があまりにも幸せで
あまりにも美しい景色が目の前にあるから
時々これが現実だと言じられなくなる
もしもこれが本当に夢で醒めてしまうというのなら
醒める前に手放してもいいと思えるように
どうか私を絶望の淵に突き落として
『泣かないよ』
卒業式の日、泣かないよと私は言った
卒業したってまた会えるし
でも君は私が絶対泣くと言う
なんでだよと軽口を叩き合いながらいつものように学校に向かう
泣かないように卒業というものをあまり深く考えないようにして卒業式を乗り切った
ほら、泣かなかったでしょ?
君はまだ終わってないよと笑う
教室に戻ってからクラスで思い出の動画を見るのがこの学校の風習だ
乗り切れると思ってた
また会えるから
動画を見てる時この当たり前だった日常がもう戻ってこないのだと思ったら止められなかった
君は何も言わず私を抱きしめてくれた
ああ、君にはわかっていたのか
私にとってこの日常が失いたくない大切な日々だったことを
私が思い出というものに弱くて泣いてしまうことを
君と出会って、笑って、泣いてたくさんの思い出をつくることができて本当に幸せだった
ありがとう
そしてこれからも…