【忘れられない、いつまでも】
私には忘れられない相手がいる。
私には昔、妖精さんのおともだちがいた。
出会ったのは暑い夏の日、私の部屋。その日私は友達と喧嘩して部屋でずっと泣いていた。
「うわぁぁん、ひっく」
「ー大丈夫?」
突然目の前に小さな女の子が現れた。私はびっくりして、すぐに涙もひっこんだ。
「あなた、だぁれ?」
「私はようせいだよ!」
「ようせいさん?絵本でみたことある!」
そこから、私はよく妖精さんと過ごしていた。妖精さんは、どんな話も楽しく聞いてくれて、私の一番の友達だった。妖精さんは、人間からは見えていないみたいだったけど、動物からは見えているようだった。私がよく吠えられている犬から必死で守ってくれたり、色んなお花の名前を教えてくれたり、私にとって妖精さんはかけがえの無いそんざいになっていた。しかし、ある日突然妖精さんに言われた。
「ごめん、私故郷にかえるね。」
「かえる?かえっちゃうの?やだ!やだ!」
「私もほんとは帰りたくないんだけど、女王様から呼ばれて」
「またかえってくるの?」
「10年後ぐらいには、、」
「やだ!なんで!ようせいさんなんか、、大っ嫌い!!!」
ダッダッダッ
私はその日から妖精さんと話さなくなった。正直、自分がわがままを言っていることもわかっていた。妖精さんにも、故郷があるんだし、いつまでもいられないこともわかっていた。わかっていたのに。その日から妖精さんは故郷に帰ったのか、姿をみせなかった。
それから10年たった。私はずっとあの日言ってしまったことを後悔している。せめて、楽しく見送りたかった。また会えたなら、謝りたい。お礼を言いたい。その時、私は思い出した。
「10年後ぐらいには、、」
妖精さんが言った言葉。もしかしたら、いるのではないか。どこかで見ているのではないか。
「妖精さん!聞いて!!」
私はありったけ大声を出して叫んだ。残念ながら返事はなかった。でも、私は続ける。
「大っ嫌いなんて言ってごめんなさい!本当は大好きなの!あの日のことをずっと後悔してる!ほんとに、本当にごめんなさい!」
目から涙があふれてきた。その時、
「ふふ、あの時と変わらずまだ泣き虫なんだね!」
どこからか声が聞こえてきた。私は目を見開いた。
「妖精さん!?ねぇ!妖精さんなの?どこにいるの?!」
「ごめんね、姿を見せることはできないんだ。今日しかここにこられないの。覚えてる?私たちが出会った日。10年前の今日だよ!私は君との日々が何よりも楽しかった!本当はもう少しいたいんだけどね、もう戻らなくちゃ」
私はショックだった。でももうあの時の私じゃない。
「…。うん!ありがとう、妖精さん!だいすきだよ。」精一杯の笑顔で言った。
「ありがとう。本当にありがとう。私も大好きだよ。」妖精さんも精一杯の笑顔で言った。
そして、その日から妖精さんのことは忘れていない。私の大好きな親友。ずっと忘れないよ。