心の風邪
誰にも気づかれない私の風邪
少し良くなってほっとした時も
悪くなって涙した時も
一人で喜び一人で悲しむ
でも、風邪のせいで倒れそうになった時
唯一気づいてくれた人がいた
倒れ込む私を受け入れて支えてくれた人がいた
貴女がいなければ私はいない
貴女がいなければ私はきっと
もはや風邪とはいえない病気で旅立っていただろう
いつぶりか感じられた幸せ
どこかに置いてきてしまった本当の笑顔
思い出させてくれてありがとう
それでも治りきらない風邪は今も悪くなる
貴女に癒して貰ったあの時から
もうかなりの時が経った
このまま悪くなって倒れたら
貴女はまた私を見てくれる?
あの子よりも悪くなったら
もっと私の事を見てくれる?
あぁダメだな
早く良くなって貴女に安心して欲しいはずなのに
私よりも重病の子に目をかけて欲しいはずなのに
迷惑なんてかけたくないはずなのに
それでも歪んだ私は望んでしまう
病が重くなって貴女に見てほしいと
汚れて醜い私の本音
矛盾に満ちた私の心
どうしようもない私の心
何年前だろう
まだ無垢の心を持っていた時
雪の中友達と転げ回った
坂を作って滑ったり
雪合戦に夢中になったり
あの頃とは随分変わってしまったけれど
心に積もった埃を雨が流して
少しはましになった私の心に
真っ白な雪が降るといいな
足を引きずり歩く帰り道
毎日通る神社の階段にイルミネーションがあった
神社らしく提灯のようなイルミネーション
弱った私の心に一筋の光が差し込む
ただの人工の光
ちょっぴり虚しさも感じるけれど
それ以上に暖かかった
私の生きている場所は、私の過ごしている世界は、
とても小さな世界だと気づかせてもらったから
誰が飾ったのかな
綺麗で優しいイルミネーション
明日になれば忘れてしまっているかもしれない
また同じ事で雫を零しているかもしれない
でもまた明日ここを通った時感じるんだ
世界の広さと私の知らない優しさを
「愛」
それはどんなに求めても手に届かない
心の中で叫んでも、決して届かない
偽物の愛ばかりが集まって
本当の愛は遠ざかる
だからもう諦めたんだ
私は愛されるような人間ではないのだと
そう諦めたつもりなのに
貴女の愛を求める私がいる
許してとは言わない
許される資格なんてない
私が1番知っているはずなのに
愛されないのは私が悪いのだと
親の期待に応えられない自分自身のせいだと
それでも何故かこう言いたくなってしまう
ねぇ、誰か1人でもいい
私に愛を注いで?
心が繋がる
そんな綺麗事
いつしか信じられなくなっていた
信じてしまうのが怖いのかもしれない
でもね、いつしか信じたい
そう思って生きるんだ
きっといつか嘘が本当になると信じて