いろいろ楽しかったね
この先は一緒に行けないけど
きっとまた会えるはず
だから
#泣かないよ
日曜の午後、ポストがコトンと鳴った。
「猫を探しています
ミミ 雌2歳 去勢済
◯月◯日脱走
見かけただけでもご連絡ください」
キジトラさんが迷子になったようだ。写真とあわせチラシに記載の住所は往来の多い道路を越えた町名。
…ここまで来ることはないんじゃないかな…
昔実家の飼い猫が脱走したときは焦った。家族総出で探しに出たものの、自宅から数メートルの藪の中で縮こまる姿を見つけるのには5分とかからなかった。
とくに去勢済の雌の場合、あまり遠くへは行かないような気がした。
しかし脱走した日を見ると数カ月前のようだ。きっと近所は隈なく探し回り、見つからないために捜索範囲を拡げたのだろう。
…見つけてあげたいなぁ…
もしも見つからなかったとしてもどこかで無事でいてほしいと思った。
あらためてチラシを見てみた。
「性格 とても臆病」
…とても怖がりさんの脱走ですか。なにかにビックリ驚いた拍子に出てっちゃったのかな。尚更気の毒に思えた。
ただ、とても臆病でも懐いた人には寄って来るのが猫ちゃんの可愛いところ。意外と近隣の地域猫に混ざって誰かにゴロニャンしているのかもしれない。
…うん、そんな気もしてきた。いつも地域猫やノラちゃんには自然に目が行くけれど、これからは特にキジトラさんに気をつけて歩こう。
…
あれからだいぶ経つ。
無事飼い主さんの元に帰れたかな。
ミミちゃんがいつも元気でいますように。
#怖がり
海を渡り山を越えた
乾いた大地の下 奥深くに
その泉はあった
透明すぎるくらい澄んた水を
いつから湛えていたのだろう
磨かれた鏡のような水面に映る
数々の鍾乳石が まるで
銀河のようで
吸い込まれそう
急に周りから何もかも消えて
無数の惑星や星雲の中
上も下もない宇宙に たたずんでいると
あの人が呼んでくれた
振り返るとあの人がいて
星空の瞳で微笑んだ
#星が溢れる
気がつくと君が側にいて
無言で見つめていた
話しかければ返事が返ってくると
知っていて 敢えて
僕も無言で見つめていた
ピカピカ艷やかな瞳と
眠そうにも見える仕草に
安らぎを感じた日々は数しれず
そんな君が小箱の中で
きれいなお花に埋もれていた
話しかけてももう起きないと
知っていて 敢えて
僕は話しかけてみた
フワフワ温かい身体と
愛すべき君のすべてが
もうすぐ炎につつまれ消えてゆく
永遠に閉じられた君の安らかな瞳
君は僕との日々に安らぎを
感じてくれただろうか
#安らかな瞳
おはよう
いただきます
ごちそうさま
おつかれさま
おやすみ
くりかえす毎日の
眠たくなるような退屈さえも
あなたとだから続けられる
#ずっと隣で