甘えん坊だったペターポも4歳になり、だんだんやんちゃな男の子に成長した。魔王をやっつけるゲームが大好き。
ある日ペターポがゲームに飽きて窓の外を見ると、夕焼けに染まる空にオレンジ色の入道雲がモクモクと広がっていたんだ。
そこでペターポは入道雲に向かって勇敢に叫んだ。
「ぼくは勇者ペターポだ。このタコ魔王よ、容赦はしないぞ!」
するとタコ魔王は雷を落とし、ゲリラ豪雨を降らせてペターポと対戦したんだ。
それでもペターポはペットロボットの「らぼっと君」をお供にして、お部屋から空に向かっておもちゃの"天空の剣"を振り回して立ち向かうのだった。
「入道雲」
理沙ちゃんのおばあさんは、おじいさんのアトリエがある中庭でビニールプールに冷たい井戸水を貯める。
そして家庭菜園で収穫したトマトやきゅうり、お茄子、近所の八百屋さんで買ったスイカを、午前中にビニールプールで冷やしておくんだ。
それらをお昼にサラダやデザートとして美味しくいただいた後、プールの水が少し温かくなって、イケメン猫の僕はネコカキ泳ぎして遊ぶ。
僕はアビシニアンだから手足が長くて泳ぎは得意なんだ。
おばあさんはゴーヤカーテンの日陰で水遊びする僕を優しく見守ってくれる。
おばあさんは僕に優しいだけじゃなく地球にも優しいエコ生活を意識しているんだよ。
どこからか聞こえてくる風鈴の音がとても涼やかだ。
「夏」
高速道路で唸るように追い越して行った白いポルシェカレラ。
驚くほどの猛スピードで駆け抜けて行った。
ポルシェカレラは素敵な車だけど、日本の道路であんな危険なスピードで運転していたら、事故を起こしてしまいそうで怖い。
いつかあの車はここではない別の世界に行ってしまいそうな気もする。
「ここではないどこか」
最後に会った日に、彼女は「私のことはもう何も考えなくて大丈夫だから」と言った。
僕は頷いた。
僕の心は、もう彼女から離れてしまっているというのに、その言葉を聞いてから、むしろ彼女のことが頭から離れなくなった。
これはシロクマ効果と呼ばれる現象なのだろうか。
「君と最後に会った日」
月の光を浴び白い花を咲かせる月見草。
月見草は夜空の月に恋をする。
優しく月に照らされ月見草は白い花弁の頬を桃色に染める。
はにかむ可憐な少女のように。
月見草は白から淡いピンク色へと変化して、夜が明ける頃しおれてしまう花。
はかない恋心は一夜限りの美しく繊細な夢。
「繊細な花」