イケメン猫は言う。
「人の頭の中には小さな狭いお部屋があるのさ。
でもそこは奥深い不思議な世界。
知恵や思いが繋がるココロの空間。
新しい発見や感動が生まれるんだ。
創造の旅は、限られたお部屋から出発するんだね 」
イケメン猫は天使だったから、神様がどんなふうに人を創ったか知っている。
「狭い部屋」
東堂くんのお母さんはオッフェンバックの「天国と地獄」を口ずさみながらお掃除をする。そうするとやる気が出て、とてもはかどるみたいなんだ。
でも東堂くんはこのメロディを聴くと、全くやる気が出なくなっちゃうんだよね。
なぜかって?小学校の運動会を思い出すからさ。
手を繋いで一緒にゴールしてみんなが一等賞をとるなんて、なんだか馬鹿馬鹿しいと思っちゃうんだって。
そんな時はみんなでお遊戯でもやればいいのにね。
東堂くんはお勉強は苦手だけど、走るのは誰にも負けないんだよ。でもそれが運動会で活かせないから、女子にモテモテになるチャンスもないんだって。
それって東堂くんが言うには自己実現の喪失だそうだよ。
そんなわけで東堂くんの脳内では、「天国と地獄」のギャロップとサンサーンスの「亀」とがリンクしてしまうんだって。
「天国と地獄」
イケメン猫が月光浴していると、夜風がそっと語ってくれたの。
人々の秘めた想いをお月様は静かに優しく聞いてくれるんだって。
だから昼間の仮面を脱いで
願いをお月様に託せば
やわらかい光で照らしてくれるよ。
「月に願いを」
今年は雨が長引くラニーニャにゃ。
イケメン猫の僕だってじめじめと湿った空気には嫌になっちゃう。
そんな時はね、ノラ・ジョーンズの歌声が雲を銀色に癒してくれるの。
あ、彼女はノラネコじゃないよ、オシャレな曲のボーカリスト。
メロディにシンクロして、
心の雨音も緩やかになり
ほっとするのさ。
「降り止まない雨」
イケメン猫の僕は理沙ちゃんのおばあさんと一緒に暮らしているんだ。
この間、理沙ちゃんと理沙ちゃんのママが僕のうちに遊びに来て、理想の男性について話していたんだ。
おばあさんは穏やかな人が理想って言ってたね。
ママは自分の考えを尊重してくれる人が好きなんだって。
理沙ちゃんは自分らしく自由にいられる人がいいって言っていたの。
そして「あら、ここにみんなの理想にぴったりな子がいるわね」と僕を見ておばあさんが言ってくれたんだ。
もちろんすごく嬉しかったよ。
「理想のあなた」