クク

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7/17/2024, 1:45:05 PM

幼い頃、祖父と遊ぶのが好きだった。家でひとりきりになると祖父は姿を見せ、ボール遊びやお絵描きに付き合ってくれる。彼の膝の上で眠ったこともある。
けれど両親が用事を済ませて帰宅した途端、祖父は姿を消す。さっきまでおじいちゃんと一緒にいたんだよ、と伝えると父は戸惑い、ときには哀しげな表情を浮かべた。

父は言う。
おじいちゃんは、お前が生まれる前に亡くなったんだよ。

両親が見せてくれた写真の中では老人が微笑んでいた。先程まで遊んでくれた、私だけの優しい祖父が。

「遠い日の記憶」

7/17/2024, 12:04:44 AM

空の高さはビルの高さに反比例する。
気づいたのは初めて訪ねたビルの足元で、ふと最上階を見上げたときのことだ。ここから見える空は低く、地面にへばりついている。
いつか旅先の地で見た空を思い出した。地平線からどこまでも広がる、果てのない青空。きれいだけれど私には少し怖い。
この街の空も悪くない。私たちの窓から手を伸ばせば届く、身近な空も。