12/29/2025, 3:34:37 PM
ゆっくり、瞼が降りてくる。じわりじわりと視界の隅から暗くなっていく。どうやら、人は終わりが見えると人生に後悔したり、何かに怒り、責任転換をしたり、終わりを否認したりするものらしい。爺さんが言っていた。「こんぐらいになるとな、ふと、自分の終わり方を考えるのさ。自分はどんな終わり方をするのか。俺ぁ後悔するだろうな。人生は選択の連続ってぇよく言うじゃぁねぇか。お前は、俺みたいになるなよ。常に正しい方に行きなさい。」だから、オレは絶対に選択を間違えるわけにはいかない。爺さんの最後の願いだから。オレは自分でものを決めたことがない。正確には、爺さんにあの言葉を言われてから、だが。両親はオレをいつも正しい方へ導いてくれた。道を踏み外さないように、オレが常に「正義」であるように。オレはそれに従った。なぜなら、2人は正しいから。偉いから。爺さんの言葉は正しかった。だってオレは、今、何も感じず、何も想わないから。怒りも悲しみも喜びも、ない。ただ目前の「それ」を待つだけだった。