今夜も地球の隣には

丸い光が浮かんでいる

そうして光る球体は
小さな影を知っている

1969年に立てられた

旗の影を知っている

今日もこの球体のどこかで

ひっそりと佇んだ影の形を知っている



テーマ「光と影」

今日も空色　変わるのは
レイリー散乱というのだと

いつかの本で読みました

けれども人はその色を

どうして青と呼ぶのだろう

けれども人はその色を

昔のいつに知っただろう




テーマ「終わらない問い」

土に眠る小鳥の　鳴き声はもう聴こえない

かつて頭上を舞ったあの　羽音はもう聴こえない

それでも私の隣の部屋に

あなたの羽根は額縁に

遠い国から訪れた　黄色い羽根は額縁に



テーマ「揺れる羽根」

住処を離れ　風に吹かれて

青と青の境界線に立ったところで

私に何が言えるだろう

満員電車の吊り革

塞がれたポスト

徒労の浸透圧に耐えながら

辞書の目次を塗り潰す



テーマ「無人島に行くならば」

貴方が折った紙ヒコーキが

あの子が放った風船が

黒い宇宙のどこまでも

どこかで光る星までも

永久に永久に人智を超えて永久に

地上を知らず飛べばいい


テーマ「どこまでも」