巡って駆けて帰り道

動かぬお虫に草をかぶせて

手合わせ祈った友人の

真似して私もそっと祈った

友のこころがみえたなら

それはどんなにまぶしかろ




テーマ「あの日の光景」

空に貝殻　かざします

今日の星空閉じ込めて

いつか誰かが泣いたとき

星があふれて照らすよう

誰かの夜を照らすよう



テーマ「願い事」

揺れるはじく　波のまにまに

淡く泳ぐ　斜陽の淵に

夕陽の琴線　静かにそそぎ

鼓膜に宿った光の残像



テーマ「波音に耳を澄ませて」

永久凍土の真ん中で

ヒンヤリ咲いた百合の木の

花の境界　しろたえの

滴が弦を弾く音


テーマ「クリスタル」

夜空に上がった花くずが　

爆ぜて穿って穴があく

その隙間から火花があふれ

こちらの世界を照らし出す

少し湿った土草の　小さな緑を照らし出す




テーマ「夏の匂い」