5/12/2023, 2:07:37 PM
子供のままでいて欲しいと願ってしまうのは、我儘なのだろうか。
ああ、きっとそうなのだろう。燻ったこの感情は、決して明かしてはならないものだった。
だというのに、お前はそれをよしとしない。
お前は、随分と目ざとく、俺の起伏にすぐ気づいてしまう。その目の良さは、いい所でもあり悪い所でもあるということを、まだ俺の半分も生きていないお前でも知っているはずだった。だからこそ、あなた限定なのだと、背中の相棒を亡くしたお前の悲しそうで優しい笑みは甘い致死量の毒であり、風穴の空いた心の隙間をたぷんと満たしてしまった。
お前は欲しいと思ったら我慢ができない性分といった。
一体、どこがなのだろうか。
我慢ができないのだと思いを告げたのはお前からだろうに、今ではいつでも飛び立てるよう準備を隠れてし、にっこりと見透かさない笑みを浮かべ、どこかぼんやりとして俺の傍にぴっとりと支える。支えてくれているはずなのに、どこか霞のような存在になってしまった。そこに存在しているはずなのに触れられない、あやふやなお前。
俺はそれが癪に触った。欲しいと欲張ったのはお前だというのに。
だからこそ、子供のままでいて欲しかった。
わがままで、欲張りで、感情の起伏が激しい、子供のままでいてほしかった。
もっと、俺の愛情を受け取って欲しいのだ。もっと、俺に愛されているということを自覚して欲しいのだ。
それが、我儘となってしまうというのなら。
俺はまだ、子供のままでいい。