【あたりまえ】
お題:懐かしく思うこと
知っているつもりだった、この日々がずっと続くことがない、と。それでも心のどこかで期待していたのだと今になって思う。一緒に笑って、泣いて、喧嘩して、そんな日々があたりまえだった。愛してるだとか好きだとかそんな言葉しか出てこないけど、その言葉以上に愛してた。失って気づくなんてありきたりだけど失って気づいた。その日々があたりまえじゃなかったことに。もうあの日々を過ごすことはないけれど、今の君を見ながら思い出に浸ろう。
【もしかしたら】
お題:もう一つの物語
あの時声を掛けていれば、あの日あなたを追いかけていれば、そんなifを毎日毎日考え続けた。虚しいだけだとわかっている。どれだけ考えた所でそれが現実にならないこともわかっている。それでも、あなたを見ていると考えずにはいられない。もしかしたらあなたと幸せに暮らせる未来があったかもしれない、と。
【月明かり】
お題:暗がりの中で
そいつは太陽みたいなやつだった。毎日フラフラしているにも関わらずそいつを好きな人はたくさん居て、その場にいるだけで周りをパッと明るくするようなそんな太陽みたいなやつ。それでいて、相手に気づかせないように自然と気遣うことができるからみんな好きになってもしょうがないのだ。
その日は疲れていて、いつもなら流せるちょっとした悪戯だとか周りから言われる悪口だとかそんな事に傷ついてしまった。だから、いつもは太陽みたいに眩しいあいつが自分に優しい言葉を掛けてきたことに驚いた。ただそれだけ。それだけだけど、あの月明かりのような優しさは自分だけが知っていたいと思ってしまった。
【幸せの記憶】
お題:紅茶の香り
ティーバックではなく茶葉から入れる紅茶の香りは上品でありながらもスーッと鼻を抜けるような爽やかな香りがする。匂いと記憶には深い関係があり、嗅いだことのある香りからその時の記憶を鮮明に思い出せるそうだ。
2000年前に君と何度も飲んだ紅茶はとても美味しかった。何よりも君と二人でお茶会をするのが楽しかった。もう君は覚えていないだろうけどそれでも、私が、私だけが、覚えている。それでいいの。あの日の幸せな記憶を思い出すために私は今日も紅茶を飲む