9/28/2024, 12:07:09 PM
#別れ際に
ある日の幼馴染の竜也と一緒の帰り道。
その日は学校帰りにドーナツ屋に行った。
SNSで話題になっていて同じく学校帰りの学生が多く列を作っていて、文句を言う竜也の腕を引いて列に入った。
一人で三つもたいらげていてあんなに嫌がっていたのにと軽く引いた。
気に入ったみたいで奢ってくれたからまぁ、連れてきてよかった。
店を出る頃にはもう夕日が眩しくて、小さいときの思い出話をしながら帰路についた。
「そういえば竜也幼稚園のときにさ、大きくなったら私と結婚するだーって色んな人に言ってまわってたよね。」
ふと蘇った幼い日の記憶に思わず笑ってしまう。
だって、いつも男友達と遊んでばかりで恋愛なんて一ミリもしてなさそうだから。
「……なぁ、遥香。」
「何? ……何その顔。」
「俺のことどう思ってる?」
「え、どうも何も幼馴染の男だけど。」
「……ふぅん。」
妙にこわばった顔で、何か言いたげに口を開いては閉じ開いては閉じを繰り返していた。
言いたいことがあるなら言えばいいのに。
「……俺は、お前のこと好きだけど。」
少し震えた声で発せられた言葉にはどんな意味が込められているのか。
私はまだ、そのたった二文字への返事をできていない。