3/31/2024, 11:48:14 AM
それはほとんど崇拝に近かったように思う。君の絶対的な美の永遠を祈り続けてここまでやって来た。いつかぼくの祈りが実るとき、君はきっとぼくの膝を枕に眠っているだろう。君はこの世で唯一肉眼で確認することのできる神様だった。神というよりも天使と呼ぶ方がよっぽど君にはよく似合うかもしれないけれど。
そんじょそこらの少年と君とを一括りに考えてはいけない。君はこの世の何よりも神聖であり、超然とした美しさを持っているのだから。そしてそんな君に許されたぼく。君の聖域に足を踏み入れることができるのはぼくだけ。穢れなき君の綻びを見つけ、処理をする。
ぼくだけが唯一触れることを許された、ぼくの神様。ぼくの祈りを実らせよう。
ぼくの膝を枕に眠る君が深紅に染まった絨毯に美しく映えている。白い頬に長い睫毛。白イルカのようなあごに桜のようなくちびる。絶対的な美の永遠を手にしたぼくは、今日も君という神様の前で幸せのうたを歌おう。
3/30/2024, 11:31:34 AM
前髪を直すふりをしてきみを見た。鏡に映るきみは今日もぼけっと眠そうだ。
「はよせぇや」
鏡の中のきみが気言うのでぼくは仕方なしに振り返る。
「そんなんしたってなんも変わらんし」
「いやいや、変わりますって」
だってほら、今まさにぼくの目の前に立つきみはいやにしゃきっとした人間に見える。きみのせいで、ぼくはいつだって鏡越しの恋に興じるほかないのである。
「先輩って隙がないからつまらん」
「そら人前やし」
それはちょっと嘘だと思う。だって鏡に映るきみは今日もぼけっと眠そうだった。