追い風
自転車を漕ぐと向かい風でせっかくセットした髪が崩れる
そんな粗末な事を気にしていられる程 今は余裕が無い
「遅刻するー!!」
そう叫びたい気持ちを足に込め、べダルを漕ぐ
そんな私を神様は哀れと思ってくれたのか追い風が吹いて、背中を押してくれる
これで遅刻を免れるかもしれないっ!とより足に力を込めてペダルを漕いだ
君と一緒に
今日も狭いシングルベッドで愛しい彼女と一緒に眠る
「幸せだ…」
俺の腕枕ですやすや眠る彼女の顔を見つめていて思わず零れた言葉に口角が上がる
こんなに誰か1人を深く愛せる事を知ったのは君と一緒にいるからだ
これからも彼女ただ1人を深く愛していこうと改めて覚悟する
冬晴れ
朝の寒さに耐えられず、布団から出るとすぐにモコモコのカーディガンを羽織り、厚手の靴下を履く
肩も背中も丸めて歩く
THE巻き肩、猫背だ
「あー、寒い…」なんて言いながらエアコンが稼働しているリビングに行く
引き戸を開けてリビングに入ると「あったかぁ…」と思わず声が出た
朝ごはんを済ませ、洗い物や洗濯機を回す
洗濯機が止まり、外に干しに行くと陽の光が降り注いで暖かい
「これぐらいの気温が朝晩も続けばいいのに…」
文句の1つも言いたくなってしまう
まぁ、自然現象に言っても仕方がないが…
寒いこの時期だからこその暖かさ
それが冬晴れなのかもしれない
そんな事を思いつつ、さっさと洗濯物を干す
早くしなければ厚手の冬服が乾かない
幸せとは
幸せとは?と聞かれて即答できる人はどのぐらいいるだろう?
“お金”や“愛”など幸せの定義は十人十色だ
私の幸せは“幸せだなと思える瞬間”だ
衣食住が保証されていること、お腹いっぱい食事をした時、友達や家族と過ごす時間など日常のちょっとした事が私の幸せだ
日の出
「はぁ、今日も寒いなぁ」
ダウンのポケットに手を突っ込んで歩く
人も車も通らないこの時間、この場所を歩くのは年に1回だ
行き先は開けた丘
そこが1番 日の出が綺麗に見える…気がする!
「着いたー」
丘の上から見える街の夜景は綺麗だ
これもここに来る楽しみだ
「5時30分かー
ちょうどいいな」
スマホで時間を確認して、思わず頷いてしまう
持ってきた折り畳みのミニ椅子を広げてひざ掛けと保温性の高い水筒に入れたコーヒーをコップに注ぐ
「はぁ、あったか…」
湯気が立つコーヒーを口にしてホッと一息つく
そこからはただひたすら日が出るのを待つ
だんだん辺りが明るくなり、日が顔を出す
「眩し…」
眩しすぎて掌で影を作る
完全に日が昇るまで見届けると広げていた物を片付け、陽の光を背中に浴びながら帰路につく
今年も初日の出が見れて満足だ