20歳になったら自動的に大人になる。
子どもの頃はそう思っていたが、どうやら思い違いだったようだ。
全く関係ない。
大人という言葉に大した意味も重みもないし、大人と思っていた人がそうじゃないことも多々ある。
聞いた話によると、大人には責任を取る必要があるらしい。
面白い冗談だな、と思った。
そんなことを言っている奴ほど責任を取っていないのだから。
そんなことを思いながら今夜も酒を呑む。
「月が綺麗ですね」
こんな言葉は自分には言えない。
けど、今日は、今日だけは、言わなきゃならない。
今後こんな人に出会えないだろう。
一生後悔するんだろう。
何か、一言でも言えばよかったって。
目の端に光る物が見えてしまった。
お膳立ては十分。
これ以上の好機はない。
さあ、少しの勇気を出すだけだ。
力なく指を差す。
震えそうなのを抑えて声を出す。
「あの三日月、綺麗だね」
さてさて、一体どうなることやら。
こんなにも色があるのに、白黒ばかり。
個性は一体どこへやら。
シンプルと言えば、聞こえが良いのか悪いのか。
日本人特有の前に習えの悪いとこだと素直に思うが、悲しいかな、自分もその内の1人。
個人的に変わり者が好きなので、もっと変わった服装、車とかでいいのにな。
色とりどりあれど、選べないならそこにきっと意味はない。
やったあ雪だ。
積もった雪の上を歩く。
シャクシャクと心地良い音が足に響く。
空気がヒンヤリしてて気持ちいい。
ああ、毎日雪が降ればいいのに。
学校も休みになるし。
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また雪か。
溶けない氷の上を歩く。
ツルツルと心臓に悪い感覚が足裏に伝わる。
靴下がベチャベチャで気持ち悪い。
ああ、早く晴れてくれればいいのに。
どうせ会社は休めないのに。
ずっと一緒と思ってた。
そう思えるほど色々なものをもらった。
本当に幸せな日々だった。
彼女が去った日、一緒って言葉がこんなに重たいなんて、自分の言葉でこんなに苦しむなんて。
けど、どうにもできないと分かったとき、
「ああ、後悔のないように生きなきゃ」
呪いのような、後悔の言葉を噛み締めた。
もう、君と一緒にはいられないけど、
どうか、どうか、どうか、
あなたの人生に幸多きことを祈ります。