茉白

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5/2/2023, 10:20:33 AM

彼はとても優しい。
いつか

「なんでそんなに優しくするの?」

と聞いたら笑って答えた。

「君の喜ぶ顔とか嬉しそうな顔が見たいし好きだから」

本当にそれだけだろうか?彼の笑顔の裏は読むことができない。人は自分に利益がある時だけ行動することは痛いほど知っていた。彼だって……。

「ほら。危ないからもっと寄って」

道の途中で腕を引かれて並んで歩く。彼はいつもこんなに優しい。

だから……これが「愛」だと勘違いする前に優しくしないで。

5/1/2023, 10:28:34 AM

「これ見て」

彼女の手にはマーブルチョコの袋。僕が訝しげに見ると笑顔の彼女は袋を開ける。中には色とりどりのチョコの粒。

「なんか懐かしくない?」
「懐かしいね。昔は筒で売ってなかったっけ?」
「そうだねぇ……でも袋の方がたくさん食べられるよ」

僕は台所から皿を持ってきた。彼女がそこにチョコを入れる。カラフルなチョコの粒は見た目にも鮮やかだ。

「綺麗だねぇ……」
「うん』

僕らはしばしチョコの粒を見ていた。

──不意に彼女がチョコを一粒摘んで口に入れた。

「甘ーい」

そう笑う彼女の表情の方がチョコよりもカラフルだなと思った。

4/30/2023, 1:09:56 PM

自分にとっての「楽園」とはどこにあるんだろう?
誰しも一度は考えるのではないだろうか?
そんな話をしたら彼は笑った。

「『青い鳥』の結末知ってる?あれと同じじゃない?」
「えっと……青い鳥はすぐそばにいたってやつだよね……?ってことは楽園もすぐそばにあるってこと?」
「うん。そんなもんじゃないかな」

そんなやり取りをしてまた思考に沈む。すぐそばにあるという「楽園」。そんなものならとっくに見つけててもいいはずではないだろうか?しかし「楽園」は見たことがない。彼の考え方は時々分からない。

「僕にとっての『楽園』は君がいるところだけど君は違う?」

あぁそうか。なんか納得した。
「楽園」は手を伸ばせばすぐそばにあったのだ。

「ううん。違わない」
「でしょ?」

そうして二人ここが「楽園」なんだなと笑い合った。