『沈む夕日』
空は表情を変えて
黒い雲達は秩序的に流れゆく
草花はやさぐれて風に吹かれて
そんなからっ風は乾燥した手のヒビに突き刺さる
オレンジと黒で染まった街は
どんどん黒味を帯びて
沈む夕日を見ていたら
私は明日に期待するのをやめようと思う
明日の青に期待をよせて
鏡の自分を笑顔にさせて
吐こうとした息を強く飲み込んだ
『君の目を見つめると』
目を擦りながらお手洗いに向かう
洗って濡れた手をパジャマで拭いて
何かを求めてキッチンへ
その途中の光が入る窓には霧吹きがあって
それを流れるように取って3回吹きかけた
少し蕾をつけた葉っぱが艶やかに新緑色を輝かせる
そうして君は送り出してくれるのだ
家に帰れば真っ暗な部屋で
月明かりだけが差し込んでいる
シースルーのカーテンは揺れて
君の影は大きく揺らいで
電気をつければいつもの形におさまった
冷めた飯を電子レンジに入れて
待っている間に君の方に向かっていって
君をよく見ていたら新しい芽吹きを発見した
私の更地の心にも少し緑が生えた気がした
『星空の下で』
壁も薄い狭い部屋に
今日もだらだら帰ります
料理をする気はありません
夜はツマミと缶ビール
テレビ番組を鼻で笑って
飲み干した缶を片手で潰して
そうしてベランダへ出ると
狭くはあれど夜空は見える
寒い風は私を通り過ぎて
星の温かい光が私を彩って
タバコに火をつけて
暗い街にまた星をひとつ灯した
『1つだけ』
何か一つに特化したもの
何か一つに特化した商品
何か一つに特化した動物
何か一つに特化した人間
どれも羨ましく思います
私という人は色々なものを
まるで全部をつまみ食いしたかのような
そんな人間なんです
そういう1つだけを生きる人生に
憧れていました
でも実は1つだけ
飛び抜けたものがありました
それは自分の幸せを知りたいと思う
そんな気持ちでした
『何気ないふり』
なんとも不向きである
外面では
嬉しいことをしてもらった時に
喜ぶフリをして
悲しい時や腹立たしい時には
怒りを抑える
時には出てしまう
なぜ喜びを人前で素で出せないのか
なぜマイナスを人に振り撒こうとするのか
なぜ内側の私は何気ないふりをするのか
なぜ私は私の良いと思う私を外へ出せないのか