ふたり
私は時々記憶がなくなる
記憶がないときでも私は動いているらしい
もしかして二重人格ってやつなのかもしれない
私は密かにもう一人の私をライアと呼ぶ
「ライア、あなたはどんな性格をしてるの?」
返事が来るわけがない
ある日好きなあの人と帰ってた
そしたら急に意識がなくなったきっとライアだ
やめて、ライア私その人が好きなんだ変なことはしないで
次の日あの人は彼氏となっていた
ライアには私の心がわかるのかも
ふと、ライアの行動が気になってあの人に聞いた
「昨日私変じゃなかった、告白したとき、さ?」
彼はそんなことないよって頭を撫でた
そしたら心に言葉が浮かんだ
消えてよあんたは本物じゃない
私が本物の『りな』なんだから
って『りな』って誰よあなたはライアでしょ
そう思ったけどそういえばそうなんだ
彼も両親も先生に友達だって私を『りな』って呼ぶ
……そっか私がライアだったのか
気づいた私は意識が薄くなった直感で
私消えちゃうってわかった
その日に私は、ライアは消えた
『りな』はあの後ちゃんと生きれてるんだろうか
ふたりだった私たちは今日から一人に変わっていった
︵︵ 心の中の風景は ︵︵
僕は小さい頃から能力を持っていた
どうして手に入ったのか分からない
けれど、そんなすごい能力ではない
『心の中にある一番の景色を見る』
そんな能力だ
目を10秒見つめる
それだけでその人の心に残る風景が
写真のようにわかる
幼馴染を覗いた
家族と山頂で見る日の出
前に話してた初めての登山か
担任の先生を覗いた
喜ぶ女の人と夜景レストラン
プロポーズでもしたのだろう
彼女を覗いた
彼女の推しがファンサする姿
流石に僕ではなかったか、、、
視線を感じて後ろを振り向く
目が合ったのは隣のクラスの人
一度だけ同じクラスになったことがある
いつの間にか10秒たっていた
そこには笑顔の僕がシュートする一枚があった
え、僕!?
その子はそのまま逃げるように帰って行った
wwwwwwwwwwwww 夏草 wwwwwwwwwwwwwww
足のすねにさらさらと当たる夏草
君に蛍を見ようと言われ来た河原
光るスマホと反射する君の横顔
ふと、止まった君
「今日も月が綺麗だね」
そういう君は苦い笑顔を浮かべる
そんなに月が好きなんだな
毎日話す月の話
「明日も月が綺麗だろうね」
そうして見えた君の月影
煌めくナイフと刺さる夏草
知ってた、その言葉の意味を
今日、君がナイフを持っていたことも
さらさらと歌う川の歌
さらさら刺さる夏の草
さらさら揺れる君の髪
さらさら流れる
二人の愛
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
〇ここにある〇
今まで生きた証がここにある
私の目に脳に身体に刻み込まれている
私が失いたくないものもここにある
生きた街、話す人々、私という存在の認識
ここにあるもの全てが私の全てだ
私を見失ったらきっと私は探すだろう
どんなに遠くを探しても見つからない私は
きっと、ずっと、ここにある
素足のままで
私は素足の人間が一番美しいと思う
薄く頑丈な皮膚
四角でも丸でもない歪なフォルム
なんでこんな綺麗な足を
布で革で隠してしまうのだろう
指の一つ一つを伸ばすのは気持ちがよく
誰にも邪魔されてない
だから私は部屋の中を素足のままで過ごすのだ