羅針盤って・・・なに?
部活が終わり、友達と自転車を押しながら帰る
「じゃあ、また明日」
「うん。また明日」
そう、言葉を交わして自分の家へと帰る
翌日、友達が交通事故で亡くなったと聞かされた
“またね”
「〇〇さん、好きです。付き合って下さい!」
そう言って、手を差し伸べてきた男子を見て固まった
《なんでみんなの前で言うの?!》
みんなが見ているなか、告白してきたのだ
恥ずかしくて、死にそうだった
あぁ・・・
泡になって消えてしまいたい
“泡になりたい”
あぁ、あと少しで私の出番は終わりだ
桜が散り始め、春の終わりが近づく
今年は何をして過ごそうか
みんなと海にでも行って、スイカ割りでもしようか
流しそうめんも楽しそうだ
そんなことを考えながら、みんなが居る家へと足を運ぶ
「お疲れ様」
家に帰ると、秋が出迎えてくれた
「あれ?冬は?」
「冬なら寝てるよ」
「まぁ、まだまだ先だもんね」
「あれ?帰ってたのかい?お帰り」
そう言って現れたのは、夏だった
「うん、ただいま」
今度は、夏の番だ
頑張ってね
“ただいま、夏”
「ねぇ、早く飲まないと炭酸抜けちゃうよ?」
友達が家に遊びに来て、飲み物を出した
けど、友達はまだ一回もコップに口をつけていない
「あっ、もしかして…炭酸苦手だった?」
「……」
そう聞いても、友達は無反応…いや、ちょっとは反応した…と、思う
この子は少し変わってる子だ
何を言っても無口無反応
だから最初は不安だった
けど、今はなんとなく分かる
多分これは肯定、つまり【炭酸が苦手】と言うことだ
「じゃあ、これは私が飲むね。冷蔵庫から別の取って来るよ」
私は炭酸を飲み干した
「うぇ…ぬっる!」
思わず顔を顰めた
それを見て友達は、静かに笑っていた
“ぬるい炭酸と無口な君”