「距離」
距離が近すぎるのも、距離が遠すぎるのも。
いずれにせよ時間が経つと嫌になる。
なら、近すぎず遠すぎない「距離」が理想的。
それが難しいからみんな悩んでるんだ
「泣かないで」
私は中学1年生。春の一学期の初めての席替え。私の隣にはSくんという幼なじみだった。幼なじみだが、そこまで喋る仲でもなく、むしろ喋らない方が自然だった。Sくんは女子と机をくっ付けたがらず、必ず2センチは空いていた。私はその時興味も無く淡々と過ごしていた。そんなある日、あたし達の席は1番前で先生からはすぐに見える席だった、すると「こら、机は離しちゃ駄目でしょ」というように私も怒られるのでそれに腹が立って音が鳴るくらい毎度離される度に勢いよくくっ付けていた。
そんなこんなで私は自然とSくんが好きになり、二学期には完全にSくんに恋をしていた。一学期にイケメンと噂されていたSくんに疑問を抱いていたが、恋をしてからイケメンだと思うようになってしまった。だけどこの時の私はただ恋をしている感情が楽しくてそれに囚われまだこの時の自分は傷付く事を知らない。
時は過ぎ、12月。土曜日に友達とショッピングモールで映画館に行こうとした。その時、映画館の入口の前にあるくつろぎスペースのソファに見覚えのある男女2人が座っていたのに気付いた、よく見ると、同じ中学の子とSくんだった。その瞬間体が動かなかった。「なぜ気が付かなかったんだろう」「なぜ今になって気づいてしまうんだろう。」「なぜ彼女が居るかもしれないと自分を疑わなかったんだろう」と、何度も何度も自分に言い聞かせた、でも私はとっさに2人の空間を邪魔しては行けないと、友達には言わず、その場から離れた。その時振り返るとSくんと目が合い、思わず目を背けてしまった、その瞬間、悔しさと悲しさと瞬時の失恋で心が苦しく、脆く、今にも挫けそうで何度も視界がふにゃふにゃになり友達にはバレたくないと必死に必死にもがき、泣かないで、絶対ここでは落ちないで、と何度も自分に言い聞かせた。