鳥籠の中の鳥のようにピィピィと歌い続けてあげよう
私は空をとぶことができるらしい。
私を鳥籠にいれた生物がそう言っていた。
そしてそれは自由であることの象徴なのだと。
不自由を強いたことへの罪悪感なのかどうか知らないが、たまに広い部屋に放たれる。
私はただじっとその場にうずくまる。もっと自由にしていいのよと眼の前の生物は言う。
私にはそれがわからない。
鳥籠の中でも羽ばたくことはできるし、どこともしれない場所を覗き回るような好奇心も、私にはないからだ。
頑丈に閉められた窓の外を見てみれば、真っ黒な、私より大きな翼をもった何かがギャアギャアと嘶いている。
ああ恐ろしい。はやくあの鳥籠に戻してほしい。
私はあの中で、私のことをまるで理解しないこの愚鈍な生物に、歌を贈るだけで充分なのだ。
言葉にしたら野暮ってものさ
想うだけでいいんだ
では本日の空模様です
全国的に快晴 青空が広がり 強い日差しが差すでしょう
最高気温は平年よりも高くなる見込みです
水分補給や塩分補給をするなどして 熱中症には充分気をつけてください 長時間外出するときは スーパーやコンビニ等のクールスポットに 都度たちよるのも効果的ですよ
午後からは雷を伴った 激しい雨の降るところもあるでしょう
それって夕立っぽい?
つまり〜…晴雨兼用傘を持って行くといいっぽい!
てーとくさん!
鏡に映った私は今日もうんざりするほど私だった。
出来れば見たくない、こんなものは。
例えるならそう、美麗なキャラクターと遊べるゲームを楽しくやっていた時。ゲーム内の少年あるいは少女とデートしたり、成年向けであればまぐわいの、セクシーシーンからの場面転換。
画面が暗転した瞬間に映る、自分のどうしようもなくだらしのない顔を見たときのような。そんな感覚を毎日味わう。
鏡にはすべてを現実に戻す力がある。
この世の鏡はすべてがラーの鏡なのだ。
まったくうんざりする。
内省の象徴だ。
いつまでも捨てられないもの
思い出、今の自分を形づくったもの
だとしたらそれをふっと消したとき
今の自分ではなくなるんだろうか
この間ホテルに泊まったとき、私の周りにそれらはなかった
それなのに何だかとても自由な心持ちで、いっそ清々しくさえあった
必要最低限のものしか置いていないあの部屋で
とても自由だった
もしかしたら本当は捨てられるのかもしれない
いまここにいる、部屋に形づくられた私が、捨てたら揺らいでしまうから、捨てていないだけなのかもしれない
ホテルに泊まっているときの私であれば
それはもうあっさりとできてしまうような気がしている
ゆらゆらしている
思い出さえ形づくらないのであれば
人はなにで出来ているのだろう