私には宝物があるの!
それはこのティーカップよ!ピンク色でお花柄!とっても素敵でしょ!
ママに買ってもらった?いいえ!実はママもパパも知らない人でもないある方から貰ったものよ!
その方はねお紅茶のことならなんでも知っているすごい方なのよ!
このティーカップに入れてくれたお紅茶はとても美味しかったの!お紅茶を美味しく飲んだらその方がね、「この紅茶が飲めるなんて君はもう立派なレディですね」と嬉しそうに褒めてくれたの!その時にこのティーカップを頂いたの!このティーカップがないとあの方のティーパーティーには行けないの…だからとっても大切なものなの!
あの方がどんな方か知りたいって?
彼はね動物なの!白い狼なんだけど、とても紳士な姿なの!ジェントルマンだったかしら?彼が教えてくれたのよ!彼はねずっとタイムマシーンで旅をしているんですって!今日ももっと昔の時代を旅しているみたいよ?
またティーパーティーの時にこのティーカップでお紅茶を飲みながら旅の話を聞きたいわね〜
#ティーカップ
綺麗だな…まるで美しい真珠の宝石のようだ。
一羽の白鳩が窓の外で自由に飛んでいる。
屋根の上にとまったり、仲間の鳩と一緒に羽根を整えたり、一緒に飛んでまわったり、なんだか楽しそうに見えた。
でも僕にはそんな自由に飛びまわる機会は来ないだろう。
この地下牢に閉じ込められて3年が経つ。
普通の人と違って背中に黒い羽根が生えている。
異端児で不吉な存在として閉じ込められて3度目の冬。
地下牢にある小さな小窓から外をみるのが何よりもの楽しみだ。
黒い羽根さえ生えていなければ…自由に生きられたのに…異端児を野放しにしてはならないとまるで鳥籠のように僕は閉じ込められている。
僕の持つ羽根は光の加減で漆黒に輝く。
残念ながらあの白鳩のように透き通った美しい白い羽根には劣る。
僕もあの白鳩のように美しい透明に近い羽根になりたかった…
今日もまた静かに牢屋で過ごす1日が始まる。
#透明な羽根
火の周りがこんなに暖かいのは何故だろう。
そして心も温かくなるのは何故だろう。
疲労と悲しみで冷たくなった心が復活した気がした。
火が揺れている。まるで小さな子どもたちが楽しく踊っているようだ。
今日看取った患者さんも元気になっていたらこれぐらい身体を動かせたのかもしれない。
看護師をしている私は今日5歳の男の子を看取った。
生まれつきの病気で生まれたときから彼の世界は病院の中。外の世界を知らないまま旅立ってしまった。
きっと火なんて知らないまま…
それを知って私はもっと悲しい気持ちになった。
帰宅してお気に入りのアロマキャンドルに火を灯すと、ほのかな香りと暖かな火が私を癒してくれた。空へ旅立ってしまったあの子もきっと空の上で自由に動き回っているだろう。
私はそう思うことにした。
少し重い気持ちが軽くなり全身の力が抜けた気がした。
#灯火を囲んで
ある人物の帰り道
ヒュー…
頬に冷たい風があたる。
夕方17時30分。日が沈むのが早くなった。
今日は仕事が早く終わった。
腹も減った。鍋の具材も買ったし家に帰ったら炊き立てのご飯と一緒に鍋でも食べるとしよう。
これから米をとぐのも辛い季節になってきたなぁ…
なんせ米は水で洗ったほうが美味い。お湯じゃダメだ。
今日は古い知り合いから日本酒をもらった。
なんでも高知の地酒だそうだ。酒呑みの県の地酒。
美味くないわけがない。先月押し入れを掃除していたら徳利が出てきた。今日は冷える。熱燗にでもしよう。
あゝ風が寒い。早く帰ろう。
昨日設置したこたつが私の帰りを待っている。
#冬支度
あの時…ああしていれば。
時が止まれば、後悔しなくて済んだことかもしれない。
片思いを寄せていたあの子に…
好きな気持ちを伝えられたのに…
でもあの子はもういない。ずっと空の上に旅立ってしまった。
一度でもいい、だからあの日に時を止めて、
いってしまう前にあの子に僕の気持ちを伝えたい。
#時を止めて