火の周りがこんなに暖かいのは何故だろう。
そして心も温かくなるのは何故だろう。
疲労と悲しみで冷たくなった心が復活した気がした。
火が揺れている。まるで小さな子どもたちが楽しく踊っているようだ。
今日看取った患者さんも元気になっていたらこれぐらい身体を動かせたのかもしれない。
看護師をしている私は今日5歳の男の子を看取った。
生まれつきの病気で生まれたときから彼の世界は病院の中。外の世界を知らないまま旅立ってしまった。
きっと火なんて知らないまま…
それを知って私はもっと悲しい気持ちになった。
帰宅してお気に入りのアロマキャンドルに火を灯すと、ほのかな香りと暖かな火が私を癒してくれた。空へ旅立ってしまったあの子もきっと空の上で自由に動き回っているだろう。
私はそう思うことにした。
少し重い気持ちが軽くなり全身の力が抜けた気がした。
#灯火を囲んで
ある人物の帰り道
ヒュー…
頬に冷たい風があたる。
夕方17時30分。日が沈むのが早くなった。
今日は仕事が早く終わった。
腹も減った。鍋の具材も買ったし家に帰ったら炊き立てのご飯と一緒に鍋でも食べるとしよう。
これから米をとぐのも辛い季節になってきたなぁ…
なんせ米は水で洗ったほうが美味い。お湯じゃダメだ。
今日は古い知り合いから日本酒をもらった。
なんでも高知の地酒だそうだ。酒呑みの県の地酒。
美味くないわけがない。先月押し入れを掃除していたら徳利が出てきた。今日は冷える。熱燗にでもしよう。
あゝ風が寒い。早く帰ろう。
昨日設置したこたつが私の帰りを待っている。
#冬支度
あの時…ああしていれば。
時が止まれば、後悔しなくて済んだことかもしれない。
片思いを寄せていたあの子に…
好きな気持ちを伝えられたのに…
でもあの子はもういない。ずっと空の上に旅立ってしまった。
一度でもいい、だからあの日に時を止めて、
いってしまう前にあの子に僕の気持ちを伝えたい。
#時を止めて
私が思うキンモクセイのイメージ
秋を教えてくれる木。
人や虫などを誘惑する甘い香りして、
どこか寂しさをも感じる。
キンモクセイのつける金色の花は、
まだ社会を知らない幼い少女たちのようだ。
毎年秋になるとこうして小さくかわいらしい
花々たちがわたしたちを魅了してくれるのだろう。
#キンモクセイ