責められ
なじられ
それでも二人なら
突き落とされた
奈落の底さえ
天国になる
貴方となら
地獄の果てまでさえ
落ちて
落ちて
どこまでも落ちてゆく
つもりでいたのに
「落ちてゆく」
今ここから
去るとしたら
何を
持って行きたいか
何も無い
何も無い
分けた命だけ
どうか
健やかにと
それだけ
ただそれだけ
手には
何も要らない
形の無い
宝物だけ
そっと胸に
「宝物」
生き物のように揺らぐ
キャンドルの炎
四六時中
煩い思考に辟易して
ただ揺らめく火を
ぼんやり見てるうちに
性懲りも無く
また無意識に
やっぱり君の事
思い浮かべてる
この炎が消える時
君への想いも
消えたらいいのに
「キャンドル」
窓より小さな
画面の向こう
遠くに住む
見知らぬ者同士が
偶然か必然か
はたまた運命か
分からないまま
知り合って
はなればなれのまま
少しずつ触れ合い
はなればなれのまま
心近づいて
はなればなれのまま
想い一つになった
はなればなれのまま
慰め合い
はなればなれのまま
笑い合い
はなればなれのまま
愛と夢を語り合った
葉の色と
風の温度が変わる頃
二人の間に
温度差のある
隙間風が吹き始めて
いつしか
はなればなれのまま
一つだった心は
はなればなれになった
遠く
遠く
距離よりも
遠く
「はなればなれ」
そんな君だと
分かってたから
ずっと
甘噛みしてた
子猫のように
あの日君は
超えてしまった
見えてたはずの
ボーダーライン
信じないのなら
容赦はしない
自分が一番
分かってるはずの君だから
もう
二度と近づけない
そんな驚くなんて
私の
何を見ていたの
折れた爪と血
そんな痛みより
子猫は
痛いって
鳴いてた
止めてって
鳴いてた
ずっと
鳴いていたのに
「子猫」