「逆光」で思い出すのは、何もかもに疲れ切っていたあの頃・・・
実家に帰る度に、まだ小さかった甥っ子を誘って、よく海岸へ行ったあの頃の、ある日の事。
小さな港で、天気がいい日は釣り人達が糸を垂れている。
あんなふうにのんびり釣りをするのもいいな、と、最近釣りというものが気にかかる。
遠くの波の上に時折跳ね上がる黒っぽい生き物は、イルカだと聞いて驚いた。
ここの海でイルカが見られるなんて、昔は聞いた事が無かった。
子供の頃はよく遊んだ浜辺だが、少し入れば急に深くなっているここの海は遊泳禁止で、海遊びには適さないし、昔から色々事故も多い。
暖かくて風も無い穏やかな昼下がり、癒しを求めてボンヤリと、寄せては返す波を眺めつつ小さな港を見渡せば、釣り人達もマッタリと竿の前で寛ぎ、魚を狙っているのか、カモメもチョロチョロうろついている。
ふと振り返ると、逆行で真っ黒なシルエットの甥っ子が、私がいる波打ち際よりも少し高くなっている所から、こちらを向いて立っていた。
黒一色のそのシルエットの背後からは、後光のように太陽光が差していて、何だか神々しささえ感じるその姿に一瞬、目が醒めるような驚きを覚えた事を、今も覚えている。
あまりにもくっきりと黒一色で、表情などまるで分からない影絵のようなその姿に、敢えて逆光で何が撮ってみたい、そんな気にさせられた、数年前の「逆光」体験。
別に意味など無かったのだろうけど、何となくメッセージ性を感じ、今も色濃く記憶に残っている。
「逆光」
アメジストを
握りしめて
目を瞑った
夢を見た
何故今自分が
こうなっているのか
分かってしまった
何処かで
安堵していたけれど
どんどん
分かってしまって
これ以上いくと
全ての意味が
分かってしまう
何故か
恐怖を覚え始めた
途端
目が覚めてしまった
心臓が高鳴っていた
そして
いつもの夢のように
忘れてしまった
何が分かったのかさえ
昔見た夢
「こんな夢を見た」
タイムマシーンで
Let's go!
どうする?
行き先は
過去?
未来?
その前に
行ったきりになるのか
覗いてくるだけなのか
記憶はこのままなのか
消されるのか
そこ大事
例えば過去へ戻り
記憶を持ったまま
生き直すなら
そこで新たに
何を選び
何を得て
何を望み
何を叶え
誰を愛し
誰に愛されるのか
捨てなければ
得られなかったものを
諦める事は出来るのか
時空を超え
違う世界線を生きる
何を生き甲斐に
何をどのように変え
どう生きていくのか
新たな選択肢を前に
見誤らず悔いなく
上手く生きていけるのか
きっと
今と大して変わらない
こんな私の事だから
「タイムマシーン」
Any night is special as long as I can be with you.
「特別な夜」
母なる海
墓場でもある海
最後の日
予感があったのか
「行きたくない」
そう言っていたと
彼を飲み込んだ海は
彼を返してはくれなかった
幼馴染で
初恋だったあの人は
永遠に
海の底
「海の底」