ここ南国にも秋が来ている。
窓を開けて寝ていると、季節の気配が直に感じられる。
このところ明け方はかなり涼しくなっている。
肩が寒い。
半ズボンから出た足が寒い。
蹴って身体から離れたタオルケットを手探りでつかみ、体に巻き付ける。この時間だけは毛布が肌恋しくなる。
記録的な暑さが続いた夏。乗りきった猛暑が一段落し涼しくなると、体がホッとして力抜けてしまう。
毛布を身体に巻き付けた
この瞬間を味わう。
また、冬になったら
寒さで力が入るのだから。
北風の強い夜が私は寂しい。
「母を尋ねて三千里」が好きだ。
出稼ぎに行った母を探しに遠い国まで旅する話。
日本でいうと、遠いブラジルへ小学生の男の子が旅するって感じかな。
アメデオ(猿)を肩に乗せ、風立つ草原に佇むマルコは哀愁に満ち、なんとも大人びた顔をしている。
何故お父さんが家にいてお母さんが出稼ぎに出たのか。
そんな遠くへ出稼ぎいくくらい家計が苦しかったのか。
遠くへ行けば行くほど稼げるのか
と、幼心に思ったものだ。
お母さんと再会できたシーンは
フランダースの犬の次に泣けた。
また観たいな。
ここ南国でも秋風は吹く。
暑苦しい夏がバタッといなくなる。
もうすぐ冬がやってくるよ。
そう言って私の肌の湿気を
さらっていく。
秋風はとてもスマートだ。
期待を持たせては時に裏切る。
爽やかで昔風に言うニヒルなやつ。
私は冬の前座だよ。
控え目なところもなおいい。
前座と言わず、
一年の主役になってよ。
私は秋風が好きだ。
飛べない翼
人は空を飛ぶことに憧れた。
鳥が飛べるのに
人も飛べるはずだ。
確信を持った挑戦者たちは
危険を省みず飛んでみる。
いくつもの羽を
腕に巻き付けて
飛ぶ。 落ちる。
大きな翼を背中にしょって
飛ぶ。 落ちる。
モノクロフィルムで見る
挑戦者たちはある意味、
滑稽で、執念深い。
飛べない翼から
飛べる翼を持った現代は
空への執着はいかがなものか
次は宇宙へと想いを馳せるのかな。
意味がないこと
なんてないと思う。
無駄だと思っていた行動も
全て後に繋がっている。
だから人生いろんな経験をして
無駄なこともして
楽しまなくちゃ