NoName

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9/2/2025, 3:51:30 PM

『ページをめくる』

私がここに来た時
私の名前が入った緑色の本が一冊
罫線が引かれた白紙の本
書き方は指定され、
書くことは自力で探せと言わんばかりの本

私のことを書く
私の歩んできた道
人が託してくれた思い
まだ見ぬ兄弟たちのこと

私たち兄弟は人に求められて初めて生まれる
宝として、希望として、力として
私は物語を求められた
だから生まれた
しかし、兄弟も求められるとは限らない

ならば、
私が求めよう

ありもしない
思ったこともない
後付けの理由を書き連ね

私の存在は
私達の存在は
求められるに値するものだと
証明して見せよう

登場人物とあらすじを書いて
ページをめくれば第一章
私達の物語が始まる

9/29/2024, 3:59:11 PM

静寂に包まれた部屋


目が覚めても聞こえる寝息
一定のリズムで沈む寝台

すぐ隣にある熱源
同じシャンプーでも違う香り

隠された瞳が光をともして
私をうつして聞こえるおはよう


それらのない朝はなんと静かなことか



2/1/2024, 3:56:58 PM

ブランコ
ブランコは好き。
目をつむって、見たくないものを見なくても遊べるから。
ひとりだけの動いてる空間に閉じこもれるから。

でも、
隣のブランコに君がいたら、
こがなくても、ただ隣でしゃべってくれたら、

学校じゃなくて、
電話じゃなくて、

目を見て、
ふたりだけの止まった空間で、

そんなブランコも好き。

1/31/2024, 5:29:57 PM

旅路の果てに、
彼がたどり着いた、旅路の果てに
彼は何を見るだろうか

後悔、懺悔、失望、諦念、
どれも彼1人が抱えるには大きすぎる

それでも彼は、
それらを抱え、愛で、慈しんでゆくのだろう

それならば、
私は彼を、
支え、励まし、護ってゆくのが、
務めではないだろうか。