秋風に吹かれながら
昨年の今頃をぼんやりと振り返る。
あの頃に比べたら。
美味しいものを味わいながら食べられるようになった。
きちんと布団で眠れるようになった。
持病の薬の量が減った。
目つきが変わった。
心から笑えるようになった。
なにより。
この先、楽しいこともあると思えるようになった。
大丈夫。
今、ここから1歩ずつ。
秋風
この業界のことを何も知らない状態で
ただやる気と希望、夢だけをもって
やってきたわたしに
いろいろな立場の人が本当に大切なことを
たくさん教えてくれた。
倒れてしまわないように支えてくれて
あたたかい言葉で包んでくれて
前向きな言葉で励ましてくれた。
今思うと大変生意気だけど
この仕事が天職かもしれないと思わせてくれた。
やっとできることも増えてきたのに
何も返せずにお別れするのはとても悔しいけれど。
もっともっとできることを増やして
自分の武器も手に入れて
なによりも人間としてうんと成長できるように
精一杯がんばるから。
いつか、また会いましょう。
また会いましょう
団体戦、引き分けで迎えた最後のシングルス。
互いに1セットずつ取った後の、運命の3セット目。
体育館に響く仲間と相手チームの応援の声。
シンとした空気を裂く、鋭いサーブの音。
キュッキュッとシューズが鳴る音。
白熱するラリー。
このスリルと興奮もまた。
スポーツの醍醐味なのだろう。
スリル
飛べない翼なんていらない。
そんな風に言う人も、世の中にはいる。
無駄なものは捨てる。
それが間違ってるなんて言わない。
けれど。
大切に持っていたい人がいてもいいよね。
もしかしたら、いつかまた。
飛べるようになるかもしれないから。
飛べない翼
風が吹き抜ける秋の高原で
一面のススキがキラキラと輝いている。
そんな風景を見ながら
子ども時代を過ごした訳でもないのに。
不思議と懐かしく、切ない気持ちになる。
こういうのを、原風景、というのだろうか。
ススキ