〚どうして〛
「んー…やっぱり言えない!」
君の澄んだ瞳が、赤面した僕の顔を映し出す
君は小首をかしげ、問う
「どうして?」
君が僕の気持ちに気付いてくれる日は来るだろうか
〚夢を見てたい〛
今日、夢が叶う
私は期待と興奮で胸がドキドキしていた
私の夢は絶対に当たると話題の占い師に私の人生を占ってもらうことだった
その占い師が今、目の前にいる
「あなたの未来、見えました。」
占い師は水晶に手をかざしながら言った
私は激しく高揚したが表面上には出さないようにぎゅっと体を引き締め、占い師の口を凝視した
「あなたは夢に向かってキラキラした毎日を送っているようですね。
しかし、あなたの未来は今を分岐点にどん底へと落ちていきます。」
「へ??」
思考が停止した
状況が理解できず、その後の占い師の発言がまったく頭に入ってこなかった
家に帰ってソファにどっしりと座り、しばらく占い師の発言について考えてみた
すると気付いたことがあった
おそらく、夢は見ている間が1番幸せなんじゃないか、と
夢が叶ったとき、それが理想通りの環境である可能性は極めて低いのだ
ずっと願い続けた夢が私に与えたものは絶望だけであった
【ずっとこのまま】
永遠に同じ時間が続くのって、たとえ楽しい時間であっても絶対キツい
それを分かっていても、《ずっとこのまま》を願ってしまう
人間っておかしい
夜空にかかった三日月
人差し指でちょんとつつくと
今にも落っこちそうだ
〚色とりどり〛
幼稚園の先生が緑とピンクの折り紙を机に置いて言った
「好きな方を取ってくださーい。」
私は迷わず緑を取った
しかし私以外の女の子はみんなピンクを取ったので、なんだか恥ずかしくなってピンクにすればよかったと後悔した
私はいつも周りとは違う意見を出してしまうし、みんなが好きというものにあまり魅力を感じないことが多い
それがコンプレックスで、いつしか自分の意見を押し殺して、周りに合わせるようになった
悔しさから緑の折り紙を持つ手に力が入りクシャクシャになってしまった
しばらく1人うつむいていると、隣にいた普段はおとなしめの女の子が、ピンクの折り紙と私の緑の折り紙を合わせてなにか作りだした
しばらく呆然とその様子を見ていると、女の子は「できた!」と無邪気な声を出して私に見せてきた
それは白い紙の上に、ピンクの折り紙と緑の折り紙を丸めて乗せたものだった
「勝手にこの折り紙使っちゃってごめんね。
でもでもほら見て、三色団子みたいじゃない?
ピンクと緑が合わさってとってもきれいでしょー!」
女の子のあどけない笑顔が私の心に光を灯してくれた