夜空にかかった三日月
人差し指でちょんとつつくと
今にも落っこちそうだ
〚色とりどり〛
幼稚園の先生が緑とピンクの折り紙を机に置いて言った
「好きな方を取ってくださーい。」
私は迷わず緑を取った
しかし私以外の女の子はみんなピンクを取ったので、なんだか恥ずかしくなってピンクにすればよかったと後悔した
私はいつも周りとは違う意見を出してしまうし、みんなが好きというものにあまり魅力を感じないことが多い
それがコンプレックスで、いつしか自分の意見を押し殺して、周りに合わせるようになった
悔しさから緑の折り紙を持つ手に力が入りクシャクシャになってしまった
しばらく1人うつむいていると、隣にいた普段はおとなしめの女の子が、ピンクの折り紙と私の緑の折り紙を合わせてなにか作りだした
しばらく呆然とその様子を見ていると、女の子は「できた!」と無邪気な声を出して私に見せてきた
それは白い紙の上に、ピンクの折り紙と緑の折り紙を丸めて乗せたものだった
「勝手にこの折り紙使っちゃってごめんね。
でもでもほら見て、三色団子みたいじゃない?
ピンクと緑が合わさってとってもきれいでしょー!」
女の子のあどけない笑顔が私の心に光を灯してくれた
〚雪〛
早朝から雪かきをして、いつもより早めに家を出る
まつ毛が凍って世界が輝いて見える
夜に除雪車の音で目が覚める
冬休みが長い
突然屋根から雪が落ちてくる
窓から眺める分には綺麗
雪かきは二人がかりでやっても2時間くらいは掛かる
足で踏んだ時の感覚が心地良い
信号機に雪が被さって見えない
外出がめんどくさい時の言い訳になる
大変なことのほうが多いけど、いい点も噛み締めて生きていったほうが人生楽しいはず!
〚幸せとは〛
母が風邪を引いた
テーブルの前で待っていてもご飯が出てくることはないし、洗濯機に入れた服がきれいに畳まれた状態でクローゼットに入っていることもない
しばらくは自分の世話を自分でしなければならない
「自分の世話を自分でする」当たり前のことなのだが、いざやってみるととても大変だ
夜ご飯の献立を考えるのに一体何回冷蔵庫を開け閉めしたことか
洗った皿をどこに戻せばいいのかも分からず、食器棚の前で立ち尽くしてしまった
そんなこんなで自分の甲斐性のなさに打ちのめされながらも、今まで当たり前だと思っていたことがどれだけ幸せなことだったのか、それに気づくことが幸せへの第一歩なのかなと思った
〚日の出〛
元旦、初日の出を見ようと沢山の人がその山に集まっていた。
初日の出の予測時刻は6時。
だが、6時半を過ぎても一向に日が出てくる気配がない。
どうしたのだろうと心配していると、日から電話がかかってきた。
そして私にためらいがちな声で、哀願するように言った。
「沢山の人に見られてて恥ずかしい。」
そうだった。
日って見た目とは裏腹にシャイなんだった。