《待ちぼうけ》
馬鹿の一つ覚えね。来るわけないのにきっと来ると信じて貴方を待つ私が馬鹿みたい。
ずっと昔に貴方は私の前から消えたでしょ。
どれだけ自分に言い聞かせても信じ続けるのは多分、一緒にいた時間が長過ぎるから。
別にいいわ、1人でも。1人の時間を全力で楽しんでやる。
そして、学ばない私は今日も待ちぼうけ。
お題: はなればなれ
祖母から聞いた実話です。
《変じられた能力》
今まで猫を触ったことがなかった。絶対に触らないでって親から言われてたんだもの。
でも、人って不思議な事に言われたことには逆らいたくなっちゃうものでしょ?
小さい頃、とても可愛いらしい子猫を見つけた。
真っ黒の毛に目が夜空みたいな子猫だった。猫ってこんなに可愛かったんだと。
その時、生まれて初めて猫を触った。そして親が猫を触るなと言っていた意味を初めて理解した。
お題:子猫
秋風のふく日に
放課後
静まり返った音楽室。足音のしない廊下。
窓辺から差し込む陽光が薄暗く教室を照らす。
まだ秋か、なんて事を言いながら、キツく締め過ぎたリガチャーを緩めてストールを肩にかける。
秋風が無人の廊下をヒューっと通り過ぎる音が聞こえた。
葉が赤く染まる。小鳥が囀り、コスモスが校舎を華やかに彩る季節、
音楽室から1人、どこか寂しい管楽器の音色が響いた。
お題:秋風
同じ空の下
あなたが私の元にやってきたのは私の誕生日。生まれた日も月も同じ。名前はラピ。お出かけする時も、私が悩んでいた時も、いつでもそばに居てくれたね。
でも、あなたは私と違って歳を取るのが早い。人間じゃないんですもの、仕方がないわ。いつかはお別れが来ると分かっていた、永遠に続かないものだと分かっていたはず。それでもやっぱり、お別れというものは辛いもの。お父さんが言っていたの、命あるものはいつかはなくなるって。その通りよ、当たり前のこと。でもやっぱり寂しいわ。
あなたがいなくなってから私の世界は大きく変わった。あれから約4年、お空に行ってしまったあなたは今どうしてるのかな。また一緒に歩けたらいいなぁ同じ空の下を、それまで待っていてね。バイバイ、ラピ。
お題:また会いましょう