『目が覚めると』


夢を見る

見知らぬ誰かをとても愛していた
もう会うことが出来ない人がいた
有名人と気さくに話していた
学生の私がいた

目覚めるとそれがみな夢だったと知る
現実ではない記憶
もうそこへは戻れない切なさと
少しの悲しみが残る朝がある

『星空』


私がいつも見る星は
ベランダから覗く空にある
地上の灯りに照らされて
光の強い星しか見えない
自然以外何もないところで見たら
本物の星空を知れるんだろうか
星しか見えない空
なんて贅沢な空間だろう

『神様だけが知っている』


毎年初詣で願いごと
神様だけに伝える願いごと
ささいなものだけど
神様だけが知っている
私の本心

『この道の先に』


商店街や住宅街にあるほっそい路地
こういうの見つけると行ってみたくなる
なんだかワクワクしてくる
たいてい小さな飲み屋があったり
ただの家と家の無意味な隙間だったり
心踊るようなものはないんだけど
何故かその先にある「何か」に期待しちゃう
いつか見つけられるかもしれないじゃない
誰も知らない秘密の入口

『窓越しに見えるのは』


雨、雨が降っている
窓にあたった雨粒が
流れては落ちてゆく
滲んだ景色を覗けば
薄っすらと私が映る
泣いているような顔
本物なのか雨なのか
知ってるのは私だけ