『初恋の日』
初恋の日、いつだったっけ。
私が君に初めて恋をしたのは、いつだったっけ。
私が君に惚れたのは、いつだっただろう。
もう、遠い、遠い、昔の記憶。
あの日、私のすべてを、君に捧げた。
それからはトントン拍子で事が進んだ。
君と出逢ってから、もう何年経つだろう。
君に恋をしてから、もう何年経つだろう。
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君が亡くなってから、もう何年経つだろう。
私は再び、君と一緒にいた頃を思い出す。
空は青く、風が気持良い。
そして私が伝えたいことは、ただ一つ。
いや、もう二つ。
愛している。愛していた。
そして、幸せだった。
『君と出逢ってから』
『明日世界が終わるなら』
明日世界が終わるなら、何をするのでしょう。
わたくしは、何をすればよいのでしょう。
もし、世界が終わるとしたら、
好きなことをする?
お金を沢山使う?
好きなものを食べる?
告白してみる?
けれど、きっとわたくしは、
そのいずれもできないでしょう。
わたくしには、明日世界が終わる、なんてわかりません。
未来なんてわからない。
明日、どうなるかなんてわからない。
世界が終わると言われても、信じない。
だって、未来なんてわかるはずないのですから。
それも、運命は変えられませんから。
だからわたくしは、明日世界が終わるなんていう事実を知る由もなく。
いつも通り、過ごすでしょう。
『君と出逢ってから』
君と出逢ってから、もう何年経つだろう。
今日も、空が青い。
今日も、風が気持ち良い。
私が君に伝えたいことは、ただ一つ。
君と出逢う前、私には何もなかった。
今日も、空は白くて
今日も、風は冷たい。
ただ、それだけの毎日。
そこから、何気ない,平坦な日常に色がつく。
大層な人間じゃない私を選んでくれた、
君へ。
理由はないけど、沢山笑って、沢山泣いて。
君が亡くなってから、何年経つだろう。
今日は、空が橙色だ。
今日は、風が暖かい。
私が君に伝えたいことは、ただ一つ。
愛している。愛していた。
そして、今も 愛してる。
『耳を澄ますと』
耳を澄ますと、どこからか、聞こえてくる。
耳から感じとる自然の美。
それに加えて感じる、透き通るような風。
虫が鳴く音や川の流れる音。
すべてが、風と同じように耳から耳へ流れて消える。
そんな鮮明な記憶だけが、私の頭をよぎる。
いつからだろうか。
耳を澄ましても、もう自然は聞こえてこない。
自然の美など、感じやしない。
いつからだろうか。
耳を澄ましても、人の喋る声しか聞こえなくなってしまったのは。
いつからだろうか。
それくらい、あたりが都会になってしまったのは。
私はまた、耳を澄ます。
昔の音が、ただ静かに、ほのかに、頭をよぎった。