「さあ行こう」
さぁ行こう。
あの道の向こうへ。
道なきあの場所へ。
己を信じ、友と共に。
さぁ行こう。
希望の光を求め。
輝き続けるあの場所へ。
過去は、もう戻らない。
戻ることさえ出来ない。
帰らぬ人が帰らぬように。
思い出として胸に秘めて。
さぁ行こう。
未来へと。
己の足で、友と共に。
まだ見ぬ夢を描いて。
「梅雨」
静かに降る雨。葉についた雫がキラキラと光り、歩道には傘の花が咲き乱れる。人々の歩く速さも心なしか緩やかになるなか、子供達は嬉しそうに水溜りの上を跳ねる。太陽の光は届かなくとも、紫陽花が景色に色をつけてくれる。雨の匂いを感じながら、私は、夏を待ち侘びる。今日も傘越しに空を見上げながら。
詩乃
『月に願いを』
1人で何気なく歩く帰り道。あなたが好きな音楽を聴きながら、2人で過ごした時間を思い出す。ふざけあって笑った時、愛を伝えてくれた時、あなたの表情一つ一つが鮮明に蘇る。あなたも今頃帰り道かな。この月が見えているかな。次会う時は、もう少し長くいられたら…と私は月を見て願う。あなたを想いながら。
詩乃
『降り止まない雨』
あなたの声が、温もりが、笑顔が恋しくて目を醒める時がある。あなたを抱きしめるように空を抱く。でも、もう思い出せない。それが悲しいようで少し安心する。あなたのために流した涙も、今では頬を濡らすことはない。なのに、どうしてまだ心は泣くの?梅雨の降り止まない雨のように。優しく…でも止まらない。
詩乃
『生きる意味』
誰かが死ぬために生きてると言っていた。生き物は必ず死んでしまう。それはどうしても避けられない。何事にも終わりは来る。
子供の時にぼんやりしていた「死」という言葉は、大人になるにつれて確実に身近なものに感じていく。深い悲しみを感じた時、逃げ場のない状況に置かれた時、心が疲れ果てた時、その「死」という言葉はふと頭をよぎる。
私達は自ら命を絶つ方法も知っている。でも、その選択肢はいつも最終手段であって安易には選ばない。選んではいけないと、本能的に知っているからだ。
それなら、その選択肢を選ばざるを得ない時まで私なりに足掻いてみよう。私らしく自分の感じる感情をしっかり受け止め、正解などないこの道を進んでいこう。
そして、その道が途切れた時に「楽しい人生だった」と思い返せるように。自然と旅路の終わりを迎えられるように。
それが私の生きる意味。
詩乃