冬至。

Open App
2/22/2026, 9:39:41 AM

「ねぇ。なんで怒ってるの?教えてよ」
平謝りしてくるあいつの顔を睨みつけてやる。
「おれ何かした?」
「…覚えてないんだろ」
「だからそれはごめんて。おれお前に何したの?」
「自分の胸に聞いてみろ」
「一緒に帰ったところまでは覚えてるんだよなー」
白々しく頭をぽりぽりかきながら空を見上げてポツリと呟く。
毎回毎回こいつはこうだ。
飲み会後は必ず記憶を失くす。
酒に飲まれる男なんてサイテーだ。
「ねぇ」
ずしりと肩に重みを感じた。
「怒んないでよー。謝るから教えて」
甘ったるい声を出しても教えるもんか。
無視してると懲りずにずっと絡みついてくる。
「じゃあさ、最初からやり直そー。一緒に帰ったところから!それならきっと思い出すよ」
「無理」
「なんでだよ!絶対思い出してみせるよ!!」
思い出したところでどうするって言うんだ。
お前がオレにキスしたなんて。
やり直したってまたどうせ忘れるそんなもの。



                   (0からの)

2/19/2026, 9:49:51 AM

今日にさよなら明日のあたし。
パリパリと剥がれ落ちて今日のあたしが落ちていく。
薄皮一枚の虚像を落として曝け出す。
脱ぎ捨てたニセモノの自分さよなら。
また明日拾ってきれいに着飾るね。
だから今だけだから許してね。
一日の終わりに近づくたびにパラパラと剥がれ落ちて本心が露わになっていく。
もう偽らなくてもいいんだよ。
形ばかりの笑顔もいらない。
全部全部脱ぎ捨てて。
まともなフリしなくていいよ。
少しぐらい好きなように衝動的に動いたっていいんだよ。
全部全部脱ぎ捨てて一切合切剥がれ落ちて本心を露わにして落ちていく感情。
痛いの気にしないふり。
全然平気。…嘘。
平気じゃなかったよね。
しんどかったよね。
泣いたっていいんだよ。
思いっきり泣いてしまおう。
はらはらと自分が落ちていく。
落ちて落ちて落ちて。
またかき集めて明日の自分を作る。
とりあえず、今日のあたしにさようなら。
少しずつ足りなくなっていく自分をかき集めてまた明日のあたしになる。



               (今日にさよなら)

2/18/2026, 9:54:17 AM

                びーえるですよ。


つい先日、腐れ縁の幼馴染が何でかめでたく恋人になった。

変わり映えしない雑談。
ふざけ合う日常。
そして。
そっと繋ぐ机の下。
指と指が意味を持って繋がれるそれ。
少し気恥ずかしくて甘ずっぱい。
「イチャつくタイミング難しいな」
顔を見合わせて笑った。
いつもと変わらないじゃれあいの先のほんのり赤くなるその頬が俺の密かなお気に入り。
俺のびゅーてぃほーな彼氏のはにかむようなその笑顔。
好きだなぁって思う。
いやむしろ大好き。
力いっぱい抱きしめ殺したい!!
見惚れてると目と目がばっちり合って訳もなく笑ってそれから。
視線に熱がこもるのを感じて堪らず顔を近付ける。
すると向こうも自然と近付いてきてそっとくちびるを合わせた。
軽くキスして気恥ずかしくてすぐ離れる。
「なんかこーいうの照れるな」
「なー。むしろ付き合う前の方が気軽に出来てたな」
「確かに」
見つめ合って笑い合う。
「でももう俺はダチには戻りたくねーな」
そう言って勢いよく引き寄せると彼は大きく目を見開いてそしてこれでもかってぐらい微笑んだ。
ほら見て俺の彼氏超絶可愛い。
そのまま勢いで彼のくちびるに軽く噛みついた。
「お前…」
「まじお前食べちゃいたいがぶがぶー」
何度も何度も彼のくちびるを甘噛みして食べる真似をする。
彼は笑いながら俺を引き剥がそうと試みてるけどその手が本気じゃない事を俺は知っている。
まじで可愛い俺の恋人。
普段は変わらない腐れ縁の幼馴染だけどその中に最近ひょっこり顔を出すこの甘い時間が俺のお気に入りだったりする。




                 (お気に入り)

2/17/2026, 8:18:39 AM

どんな状況でも、どんな状態でも舞えればそれでいいと思っていた。
「おまえは芸と命、どちらを選ぶ?」
その昔、そう問われたとき迷う事なく芸を選んだ。
でも旦那と出逢ってしまってからはそれが正しいのか分からなくなった。
命がなくなってしまったら旦那の前で2度と踊れまい。
それは嫌だいやだ。
命あれども2度と踊るなと言われると舞わないわたしに旦那は興味を持ち続けてくれるだろうか。
考えたくもない。
舞台の上に立ち回り演じ舞う。
それが生涯の願い。
それは今でも変わらない。
それでも、
わたしが何よりも望むのは。
旦那にわたしの演じる姿を見てもらう事。
わたしが妖艶に舞台で何者かになり得るその姿の視線の先にはあなたに居てほしい。
その頬に満足そうな笑みを浮かべ笑って褒めてほしい。
わたしは誰よりも旦那に見て欲しいんだ。
そのために視線の角度そのしぐさ指の先まで貴方の求める貴方を惹きつけられるその舞いを共に離れるその日まで舞い続ける。そう決めた。
誰よりも誰よりも貴方に。
その心にわたしのその姿を置いてて欲しいんだ。


                 🍁(誰よりも)

2/15/2026, 10:20:44 AM

         今度はアダルティなびーえるで。


「なにそれ」
広めのソファーに横たわりだるそうに机の上のお洒落な袋を視線で示しながら聞いてくる同居人。
「あぁ、これ?」
その袋を摘み上げて見せる。
「バレンタインのチョコレートだって」
「誰にもらったの?」
「同じ大学の…」
説明しようとして冷たい視線を送られてる事に気付いて慌てて付け足す。
「お前にだよ。渡してってさ」
毎度のことだけど参っちゃうよね。苦笑しながらソファーの彼を見ると不機嫌な顔と視線がぶつかる。
「お前はそれを受け取ったのか?」
「そだよ、ダメだった?」
いつもより声が低い。
「別に…」
今日の彼は機嫌が悪い。
何かしたのだろうか。
「食べてみる?何だか美味しそうだよ」
シンプルだけどお洒落な装飾で包まれたそれは送り主のセンスの良さが伺えた。
渡した本人も美しいひとだった。
思わず受け取ってしまったけど本当は…。
無言でずっと見つめられていて居心地が悪い。
こんなもの受け取らなきゃよかった。
恨めしくチョコレートを睨みつけてしまう。
「食べさせて」
突然破られた沈黙に聞こえて来たその言葉を理解出来なくて無言で彼を見返してしまう。
「食 べ さ せ て」
ゆっくりと低い声で一字ずつ丁寧に発音される。
食べさせて。
脳内でまたゆっくりそれをなぞって信じられなくて自分を指差してそれから彼を指差す。
それを見届けた彼は目は笑っていない意地悪そうな微笑みで持って頷いてみせた。
「いや、でも…ねぇ」
もはや何て答えていいか分からずに訳もわからない言葉を発してしまう。
「いいから、早く」
声がより一層低くて怖い。
おずおずと綺麗に飾られたその箱を開けてみる。
一つ一つが丁寧に作られた豪奢なチョコレートたちが並ぶ。
その中のひとつを摘んで彼の元へ行き口元へ運ぶ。
彼はちらりとこちらを見上げそのまま俺の指ごと口の中に含んだ。
指に絡みつく熱に手を引こうとするが手首を掴まれて取れない。
そのままさらにねっとりと舌でなぞられる。
俺を見つめたまま離さない。
しばらく執拗に指に絡み付いていたその舌からやっと解放された。
「甘すぎる…」
「チョコレートだからね」
動揺を気付かれまいと舐められたその指先を後ろ手に隠しながら何でもないように答える。
「まだ…」
「甘いって言ったのに、また食べるの?」
「早くよこせ」
目で指図してくる。
仕方なくまた一粒口元に差し出すと。
「そうじゃないだろ」
俺の唇をそっと指でなぞって笑う。
「それはちょっと…」
逃げの態勢に入る俺の腰を逃げれないように掴まれた。
近づいて来るその顔に逃げるように自分の口を手でカバーする。
「手をさげろ。キス出来ねぇだろ」
真っ直ぐ射抜くような視線で命令されて仕方なくおずおずと手を外すと、それと同時に俺の手から奪われたチョコレートを口に含んでそのままキスされた。
閉じてた口の間にねじ込むようにチョコレートが入って来て甘さが口の中で広がった。
中からとろりと流れ込むアルコール。
甘さと熱さを味わってるとそこに割り込んでくる彼の熱いその舌が。
俺の口内を自由気ままに蹂躙する。
押しのけようとしてもどこまでも追いかけて来て絡まれ吸われる。
息も上手く出来ないままむしゃぶり尽くされてやっと解放された。
「やっぱり甘すぎるな」
自分の口を舐め上げながら呟く彼に酸素が足りない俺は反応が出来ない。
「お前相変わらず息継ぎ下手くそだな」
離さないのは誰だよ…!!と言いたいけど疲れて声が出ない。
恨めしい視線だけ送った。
いつの間にか機嫌も治ってるし。
「なに…?」
にんまり笑いながらなおも近づいて来る彼に逃げようとしたけど遅かった。
「チョコもいいけどやっぱり俺はこっちがいいな」
そう言って引き寄せられてまた深い口付けをされる。
いつ終わるかも分からない口付けにめまいを感じながらそのまま目を閉じた。


                (バレンタイン)
昨日フライングでバレンタインネタをあげた直後のこのお題発表…。1人戦慄するあたし。
そんなにバレンタインネタなんかないよ!!!(笑)

Next