日の出
「誰だよ、オールで初日の出見に行こうって言った奴」
「「お前だよ」」
そういう系の言い出しっぺは双子の弟だって決まってるんだ。そんでもって責任転嫁するところまでが私たちのルーティンワークだ。これ、今年もやんのか……。
年末を3人で過ごすんだったら、そのまま初日の出も観に行こうぜってなって、フラグ。気がついたらみんななかよく寝落ちしていた。やたらと早起きが得意な弟が寝落ちした私と後輩を叩き起こしてくれなかったら、きっと昼ぐらいまで寝過ごしていただろう。
「間に合った!」
「きっつぅ……」
「今年も初っ端から忙しねえ奴らだぜ」
「「お前が言うな」」
あともう少しで、新年初めましての陽が昇る。
いままでにも何度か観たことはあるけれど、その度に綺麗って人並みの感想を呟きながら思うことはただひとつ。
--来年も観たいな
「初日の出ってなんか願掛けしたらいいとかってのある?」
「聞いたことねーな。今年の抱負叫んでもいいんじゃねえか。ここ、俺らだけだし」
そう。ちょっと非公開の秘密の場所から、いつもの3人で初日の出を眺めている。日常のようで非日常のようなこれを、できれば毎日繰り返していきたい。
「今年も神様が迎えに来ませんように‼︎」
だいたい新年に私が願うことなんて決まってるんだよ。「私を気に入った神様が未来永劫迎えに来ませんように」だ。それこそ「誰だよ、神様の愛娘は短命なんて決めつけたのは」って話だ。
私はまだ死にたくない。いろんなことを知って、いろんなものを見て、みんなと笑っていたい。だから、新年最初に願うことはいつも一緒。今日も今日とて生き延びる!
「姐さんの願いが切実すぎる……」
「後輩。お前がヘンなこと言うから姉貴がおかしくなったじゃねーかよ」
「姐さんがおかしいっていつもどおりじゃない?」
「おしるこ食わせねーぞお前ら」
「「ごめんなさい」」
別に、初日の出に限ったことじゃないけどさ、朝陽とか夕陽ってなんであんなに綺麗で、心が動かされるんだろうね。
天照らす神様が私たちの命まで連綿と育んでくれたからかな?
……迎えに来るなって言う割には、こういう神話とかそういうの大好きなんだよねー私。
(いつもの3人シリーズ)
(一番最初に投稿した話にもちょっと繋がるネ)
新年
「明けましたおめでとう」
「まさかこの3人で年明けも一緒になると思わなかった」
「よもや『ウルトラソウル』『ヘェイ!』で年越すと思わなかったわ」
ちなみに、ウルトラソウルの奴は双子の弟がSNSで見つけたらしい。最高かよ。
「今年もいい年にしようね」
「それに関してはなんとなく大丈夫な気がしてる」
「俺らがいるからな。安心しろ」
「弟、もしかしてそれあたしも勘定してる??」
毎年なにかといろいろあるけど、困ったら周り見渡してゆっくり休んで、また一から始めればきっと大丈夫。
好きなアイドルグループがね、「きっと大丈夫」ってタイトルの歌も歌ってたけど、別の歌では「明けない夜はない」っても歌ってるんですよ。このフレーズが大好きで、たまに口ずさんだりしてる。
「「「今年もよろしくお願いします」」」
(いつもの3人シリーズ/明けましておめでとうございます!)
良いお年を
「いい1年にするぞ」
「まさかの断言系」
「『したい』じゃなくて断言したほうが叶いやすいって聞いたから、俺はいつも断言するようにしてる」
「「なるほど」」
ここで物語を綴り始めたのがいつだったかはあまり覚えてないけど、いつも読んでくれるあなたも、たまたま巡り逢えたあなたにも、最大級の感謝を。
大丈夫、来年も笑っていたらなんとかなるよ。
(いつもの3人シリーズ)
(来年はもうちょっと更新頑張ります)
1年間を振り返る
年の瀬だからこういうお題ありそうだなーと思ってたら、今日なのね。あと数えるほどしか残されていない2024年、思い浮かぶ言葉といえば−−
「生き延びた」
「姐さん……」
「お前、毎年言ってねえかそれ」
「君たちだってね、20歳まで生きられないよっていろんなところから言われてみ? 年の瀬迎える頃に同じこと思うから」
短命予言を舐めんじゃないよ。尤も、誕生日から1年を数えるのか、1月から12月までを1年とするべきかって問題はあるけど、年の瀬ってわかりやすい時間の節目じゃん。誕生日よりも振り返りやすい気がする。
「かく言う君たちはどうなの?」
「本いっぱい読めた」
うん、自他共に認める本の虫の後輩らしい。ちなみに、去年は「思ったより読めてない」ってしょげていたから頑張ったんだろうね。よかったわ。
「じゃあ、次。弟」
「いっぱい思い出増えた。来年はそれを更新する」
「なんかぼんやりしてない? てっきりレモンとか動物とかで攻めてくると思ってた」
「そのふたつはもはや俺のルーティーンだから、改めて振り返るとか反省するとかはない」
そういやぁ、弟からカメラ向けられることが特に多かった気がするなぁ。このあいだ、偶然彼のスマホを覗いたらやたらと撮影系のアプリが多くてちょっと引いた。どんだけ撮影に本気なんだ……。
「あ、でも、強いて挙げるなら、今年はやけに怪異の遭遇が増えたかな?」
これはいいことなのか、悪いことなのかって聞くまでもないか。私たちまとめてお祓いしてもらったほうがいいんじゃなかろうか?
「活動範囲が増えたから、増えるのは当たり前だよね」
「そうだな。ましてやお前がウェルカム状態だから、そりゃあ増えるだろ。来年はもっと遭遇率上がるんじゃね?」
「素直に喜べないなーいろいろと」
別に嫌いじゃないけどさ、寿命すり減ったわみたいなのはなるべく少なめでお願いしたいなぁ。
……無理? そっか。
まあ、いつもの3人でいる限りはなんとかなるか。
(いつもの3人シリーズ)
(若干メタい)
泣かないで
「あたしは人様に『泣かないで』ってはあんまり言いたくないかな。悲しい時だってあるじゃん」
「まあな。TPOをわきまえなきゃいけない時もあるから、いまはこの場で泣くなって意味で言いたくなる気持ちはわかるけど」
「泣いていい場所だったらいいってことでしょ。涙活って本で読んだよ。人間いくつになったって泣くのも大事なんじゃないの?」
こういうお題、本当に私たちは向いてないなと思うけれど、まあお気持ち表明的な短話をば。
そりゃあ、時と場合によっては泣けない時だってあるけどさ、別にいいじゃん。泣いたって。人間だもの。
取り返しがつかなくなるぐらい壊れてしまうよりだったら、情けなくても声を上げて泣けるほうがよっぽどいい。
もっと言わせてもらえるなら、あなたが泣いていてもずっとそばにいてくれる人が、泣き終わるのを待ってくれる人が、「スッキリした?」ってあとはなんでもないふうに微笑んでくれる人が、ひとりでもいたらそれ以上の幸せってないと思う。
「後輩が泣くとこはあんまり想像つかないけど……」
「奇遇だね。オレも」
「自分で言うなや」
「弟や姐さんだって泣くとこある?」
「「あるよ」」
「たとえば?」
「「推しが死んだ時」」
「それはしょうがないね……」
(いつもの3人シリーズ)