これまでずっと
ボクは一人ぼっちだった
ボクは段ボールがお家なんだ
ある日、人間がボクを見つけて
抱き上げてくれたよ
ボクは嬉しくて
尻尾をフリフリ
ワンワンと可愛い声で
愛想を振り撒いたんだ
それで、段ボールのお家から
飼い主さんの住むお家へ
引っ越しすることになったんだ
暖かいお家
美味しいご飯
ボク専用のベッド
全てが最高に幸せ
飼い主さんはボクと沢山遊んでくれる
ボールも上手にキャッチできるよ
飼い主さん達と歩く散歩道もボクは大好きだよ
お花が咲いててキレイなあの道だよ
飼い主さんのお家に引っ越しして
どのくらい時間が過ぎたのか
わからないけど
ボクは少し大きくなって体重も増えたよ
ところで…
ねえ、飼い主さん
いやいやお父さん
お母さんが抱っこしてるのが
赤ちゃん👶?
わーい!わーい!ボクに弟ができたの
早く顔が見たいよー
見せて見せてよー
あのね
これまでずっとボクは一人ぼっちだったけど
これからずっとボクには家族がいる
ボクお兄ちゃんになったんだ
おしまい
「おーい」
すべてはこの一件のLINEがはじまり。
数年前、同窓会を開く予定を企画していた際、
個別にLINEのやりとりをした。
初めは同窓会に関するまともな話。
だが、同級生がゆえ
年齢も40代になりプライベートな話も多少する。
私は独身で自由気ままな生活を楽しんでいる。
相手の男はバツイチになっており。
連絡を取り始めた頃、お見合いに失敗したようだ。
だからなのか この男
わたしが独身だと知って、毎日連絡してくるようになった。
その第一声が冒頭の「おーい」である。
すぐに返信しないと、鬱陶しいほどLINEがくる。
そして、通話したがる。
話の内容も、マウント取りたいだけのクソジジイに進化していく有り様。
この男
占い師に観てもらわなくてもわかる。
将来、老害になるタイプですよ。
昔ヤンキーだったからなのか
妙な自信だけは残ってて
私に向かって「俺の嫁候補な」だと(笑)
良く言えるな、今の自分を鏡で見たことあるのか❗
気味悪いオヤジが気持ち悪いこと言ってますけど❗
私の心の声は、そう叫んでいたはず。
もちろん丁重にお断りしました(笑)
その後、この男とのLINEをブロックするのは
当然のことなのでした。
おしまい
目が覚めると私は知らない土地にいた。
うーん…ここはどこだろう?
辺りを見渡すと、住んでいる関東圏ではなく
なぜか九州にいた。しかも寝台車に乗っている。
駅名がいやでも私の視界に飛び込み
九州まではるばる来たことを思い知らされる。
なぜだ❗なぜ私はここにいるのか❗
私こと田辺は飲み過ぎたせいなのか、記憶が曖昧になっていた。
確か昨日は、仕事終わりに部下と会社近くの居酒屋で飲んで
そのあともう一軒寄ったような…。
記憶がはっきりしない、
酒をどのくらい飲んだかさえ
わからないのである。
九州の駅で降り、自販機でジュースを買い
ベンチに腰かけ渇いた喉を潤したあと
状況も理解しきれないままだが
とりあえず
昨日一緒に飲んでいた、部下のA君に連絡してみる。彼なら何か覚えているはずだ。
(念のため、心配させるといけないので、九州にいることは伏せておくことにした)
A は開口一番「田辺部長おはようございます❗」と、二日酔いの私の頭に響いてつらい。また昨日の私の話になると、「酔ったから先に帰る」と皆に伝え
一人フラフラと駅に向かって歩いて行ったらしい。
他にもBC の部下もいたが、そこで解散したようだ。九州行きの寝台車に乗ったことも酔った私がしたようだ。
ああ、妻に連絡をして事情を伝えなくては…
妻は恐妻家なのだ。
浮気を疑われてもこまる。
酒は少し控えないと…
幸いなのは、本日が会社は休みだということ。
休みなんだから遅刻もなにもない
上司に説明する必要もないか、と。
田辺は、あれこれ考えながら
妻に恐る恐る電話するのだった。
そんなころ部下ABC は、ファミレスに集まり上司の話で盛り上がっていた。
ABC 「田辺部長、パニックなんじゃない?」
Aは上司から連絡が来たことを話して
「酔ったから先に帰ると言って、一人フラフラと駅に向かって歩いて行きましたよ。」
って言ってやったよ(笑)
そう言うとBC は大笑い
B「良くそんな嘘を言うねー」
C「俺たちで田辺部長を駅まで連れて行ったのは本当じゃん。」
A「で、駅で九州行きの寝台列車に乗せて」
B 「寝台車の旅だよ。ほとんど寝てるけど」
C 「呑んでたし記憶もさほどないから、バレないバレない❗」
ABC 「田辺部長、パワハラみたいなこと言うから嫌いだし、これくらいいいんじゃんね」
いくら嫌いでも、そこまでやるか!
ってなお話。
おしまい
私の当たり前、掃除をして料理をつくる。
毎日のこと。