かおる

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目が覚めると私は知らない土地にいた。

うーん…ここはどこだろう?

辺りを見渡すと、住んでいる関東圏ではなく 
なぜか九州にいた。しかも寝台車に乗っている。
駅名がいやでも私の視界に飛び込み
九州まではるばる来たことを思い知らされる。

なぜだ❗なぜ私はここにいるのか❗
私こと田辺は飲み過ぎたせいなのか、記憶が曖昧になっていた。

確か昨日は、仕事終わりに部下と会社近くの居酒屋で飲んで
そのあともう一軒寄ったような…。
記憶がはっきりしない、
酒をどのくらい飲んだかさえ
わからないのである。

九州の駅で降り、自販機でジュースを買い
ベンチに腰かけ渇いた喉を潤したあと
状況も理解しきれないままだが
とりあえず
昨日一緒に飲んでいた、部下のA君に連絡してみる。彼なら何か覚えているはずだ。
(念のため、心配させるといけないので、九州にいることは伏せておくことにした)

A は開口一番「田辺部長おはようございます❗」と、二日酔いの私の頭に響いてつらい。また昨日の私の話になると、「酔ったから先に帰る」と皆に伝え
一人フラフラと駅に向かって歩いて行ったらしい。
他にもBC の部下もいたが、そこで解散したようだ。九州行きの寝台車に乗ったことも酔った私がしたようだ。

ああ、妻に連絡をして事情を伝えなくては…
妻は恐妻家なのだ。
浮気を疑われてもこまる。
酒は少し控えないと…
幸いなのは、本日が会社は休みだということ。
休みなんだから遅刻もなにもない
上司に説明する必要もないか、と。
田辺は、あれこれ考えながら
妻に恐る恐る電話するのだった。



そんなころ部下ABC は、ファミレスに集まり上司の話で盛り上がっていた。

ABC 「田辺部長、パニックなんじゃない?」

Aは上司から連絡が来たことを話して
「酔ったから先に帰ると言って、一人フラフラと駅に向かって歩いて行きましたよ。」
って言ってやったよ(笑)

そう言うとBC は大笑い
B「良くそんな嘘を言うねー」
C「俺たちで田辺部長を駅まで連れて行ったのは本当じゃん。」
A「で、駅で九州行きの寝台列車に乗せて」
B 「寝台車の旅だよ。ほとんど寝てるけど」
C 「呑んでたし記憶もさほどないから、バレないバレない❗」


ABC 「田辺部長、パワハラみたいなこと言うから嫌いだし、これくらいいいんじゃんね」


いくら嫌いでも、そこまでやるか!
ってなお話。

おしまい

7/10/2023, 4:01:42 PM