百木

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3/3/2024, 1:17:13 AM

たった1つの希望

 お母さんが死んだら死のう。
 お母さんが死んだら生きている意味はない。
 お母さんを悲しませないために惰性で生きてる。
 お母さんが死んだら死ぬ。
 それだけがわたしのたった1つの希望。

3/1/2024, 9:10:19 PM

欲望

 欲望をノンアルコールビールで流し込む日々だ。
 体重計を見ると、久し振りに見る数字だった。喜びに胸が打ち震える。
 酒を飲みすぎると太る。そんな当たり前の、分かり切った事実。それにすら向き合えないほどストレスへの対処が難しかった。
 新しくできた恋人が小柄で細身だから、一緒に並ぶのが恥ずかしい。そう思ったらやる気になれた。
 ゆるいダイエット。禁酒と毎日ですらないフラフープ。それでも少しずつ体重は減っていった。
 次第に飲酒欲求はわかなくなってきた。
 大好きだった元彼と付き合っていたとき、私は痛飲と過食を繰り返していた。別れなきゃよかったと何度も何度も泣くほど大好きな人だった。
 でも、きっとこれでよかったのだ。たぶん、禁酒できているうちは。

3/1/2024, 5:14:00 AM

列車に乗って

「いつもマスクつけてる人。あの人友達居るの。なんかいなそうじゃない? 呪いとか唱えてそうじゃない?」
 電車の床を見つめる私にも、それが私のことだということくらい分かった。
 2009年の冬。このときは常にマスクをつけている人が珍しかった。
 ありとあらゆる恐怖心や不安感を網羅した私にとって、電車通学は苦痛でしかなかった。人の目。挨拶するか微妙な間柄の人や、なんとなく毎日見掛ける人たちの目。
 私はもうすぐ、高校を卒業する。
 この田舎のちいさな列車で後ろ指をさされることからも卒業する。
 またここに戻ってくることになって、もっと苦しい思いをすることになることは、このときはまだ知らない。
 毎日自家用車に乗るようになることもまだ知らない。