私の日記帳
日記を書いてみることにした。
YouTubeで流れてくる、日記帳にコラージュをしているshostsを見て、良いなって思ったから。
まぁコラージュはしないんだけど、おしゃれな文房具を使っておしゃれに日記を書きたいだけなんだけど。
2学期が始まってから始めてみると、案外楽しかった。
飽き性な私には、3日で終わらず、10日間も続いたことは快挙だった。ちょっと嬉しかったこととか、爆笑したこととか、高校生活の何気ない思い出を書き留めていくのは、私たちが過ごした時間は消えない証みたいに思えて、日記帳が青春の結晶みたいに見えた。
最近は、すぐに書き留めたくなって日記帳を学校に持ってきていた。家に帰ってからちゃんとレイアウトするために、付箋に書いて貼るだけなんだけど。
授業中、さきが眠そうになってて、目を擦ったり、瞬きを何回もしてたのが可愛かった。あー付き合いたい。ちゅーしたい。ハグしたい。手繋ぎたい。
と、付箋にテキトウな字で書く。あ、結婚したい、も書こうかな。
何書いてんの〜?
んー日記書いてる〜
肩くらいまでかかる、綺麗な茶髪の髪を揺らしながら、さきがぴょこぴょことやってきた。
何日続いてんの?
もうすぐ20日!
え、三日坊主じゃない…!
すごいでしょ〜!
そうやってドヤってると、さきが私の日記帳を覗いた。
そこでハッと気づく。私の想い人への想いを綴った付箋を見てるのは、私の想い人じゃないか。
慌てて日記帳を閉じて顔を上げると、にやにやと笑ってるあかりがいた。
———私も、そういうあかりのドジなとこが好きだよ。
なんて、花が咲くように咲った。漫画だと、天使が私の心を弓で貫いている場面だ、なんて馬鹿なことを考える
すき、けっこんしよ。
まずは付き合ってからね。
はい!!!
私の日記帳は私のキューピッドだったのかも。
向かい合わせ
私と君は向かい合わせに座ることが多かった。
いつものお昼ご飯とか遊びに行ったときとか。
席替えしても、隣になったことは一度もない。
横に並んで、歩いたことも少ない。大体、他の友達と前か後ろを歩いてる。
近いけど、少し遠いと感じる距離。嫌われてるのかと思ったこともあるけど、そうじゃないことだけはわかる。
私の気にしすぎ?
でも、それが嫌だった。もっと君の近いところに居たい
だから、観覧車という2人っきりの空間を使った。
その機会が訪れたのは偶々だったけど。
観覧車の中でも、君は向かいに座った。どうやって隣にいこうか考えても、良い案は思いつかない。
ねぇ、隣座っても良い?
だからもう直球で聞いた。
なんで?
そっちに座ると海が綺麗に見えるから。
…いいよ。
君がちょっと右にズレたのを見てから、隣に座る。
肩が触れるくらいの至近距離。
綺麗な景色を見ながら、好きな人に触れるのってどきどきするなぁ、と初心なことを考える。
ちらりと横を見ると、体を硬直させたまま、下を向いていた。綺麗な黒い髪からは、赤くなった耳が見えた。
ねぇ————好きだよ。
付き合うまで、後0秒。
鏡
鏡を見たいと思わない。
だって自分の嫌いな顔が映るから。
自分の顔が嫌いだとを思ってる自分は人を見た目で判断する嫌な奴なんだなぁって思って、
また自分が嫌いになって、そして自己嫌悪に陥る。
まさに負のループ。
いつまでも捨てられないもの
いつまでも捨てられないものなんかない。
捨てられないと思ってた夢を今まで簡単に捨ててきた。
いつまでも捨てられないものがあって、
それにずっと執着し続けられる人が羨ましい。
そういう人になりたかった。
君の奏でる音楽
音楽に力などないと思っていた。
所詮、ただの音でしかないのだから。
でも、君の奏でる音楽を聴いて、俺の考えは間違っていたと思い知らされた。
音楽はいろんな色を持っていて、その色によって
人の感情は簡単に動かされる。
両親が他界して、ずっと泣き続けていた時も、君の演奏を聴くだけで、また頑張ろう、生きていけると思えた。
そんな、俺に大きな影響を与えた彼女から、
音楽が嫌いになった
と、聞いた時は驚いた。
俺が、初めて君の演奏を聴いた後、すごいと言って拍手した時の、君の満足げな笑顔が忘れられない。
音楽には力があると思い知らされた俺が、
俺の演奏で君にまた、音楽が大好きだと言わせてやる。
—2人しかいないコンサートホールで、ピアノが鳴った。