私たちが目にする七夕の短冊は
人目に晒していい願いだからそこに書けてる
多分二番目以降のお願い事も多いのだろう

心の中にのみひっそり存在する一番望むことを
皆も私もはっきり自覚できているだろうか



: 願い事

蝉にだけ空蝉という言葉がある
取り残された方にアイデンティティを与えて
その殻に風情や哲学を詰めるのだ



: 空恋

遠くへ行きたいと皆言うけれど
帰る意思の有無でだいぶ話が変わってくる



: 遠くへ行きたい

書道の先生が夏休みに花火の大きな袋をくれた
蚊取り線香と花火の火薬の匂いが懐かしい

夏休みに祖父母の家で桃を買ってもらったその香りと
晩御飯に胡瓜とトマトを収穫してきてと言われて
蝉の鳴く庭でもいだ瞬間の夏が満ちる緑の匂い

夏の匂いはどれも幸せな思い出とともに与えられたものだと気がついてようやく
ノスタルジーと云うものが腑に落ちる


: 夏の匂い

気にかけてくれてありがとう
もらった心だけで充分すぎるから

全く解決してないけど、
それはもう辛い事ではなくなったの



: 小さな愛