t「遠い約束」
待ってるよ。
その一言だけを残して君は行ってしまった。
自分よりも早く大人になる君。
どい足掻いてもこれだけは一生追いつけない。
それなのに待ってるよ、なんて…。
残酷な現実を突きつけられても進みしかない。
君と交わした未来の遠い約束のために。
t「新しい地図」
三月の末が終わり四月の一週目も終わる頃。
新しくきた場所のマップをスマホで開いて。
今更周りに何があるのかマップと睨み合いしながら確認する。
下見のために来てはいたけど、その実周りに何がとこにあるのかよくわかっていない。
コンビニが近いな…スーパーもちょっと行った所にある…あとは…全部駅前か〜。
家具の少ない部屋で大の字で倒れる。もう一度スマホの画面を見つめる。
見知らぬ土地に、見知らぬ場所。今まで住んでいた故郷とは全然違う形をしている。
本当に来たんだ…!とこんなことでも実感する。
今日は天気もいいから出掛けよう。手に入った新しい地図に心を躍らせて起き上がった。
t「好きだよ」
誰かを守るためにボロボロになる君。
たとえ君が人ならざる者であったとしても
自分たちのために闘う君を嫌いにはなれない。
いつかどこかで君が壊れてしまって敵になっても
君が誰かのために闘えなくなってしまっても
自分だけは君を愛し続けるよ
好きだよ、どんな姿になっても
ボロボロな姿で微笑でくれたあの日からずっと
t「桜」
桜が舞う四月。
多くの出会いと別れが共存してあちこちで色んな表情をみせる。
ひらひらと舞う花びらは新たな一面を見せた人に動揺して
綺麗に咲く姿は先行く先輩に見え
支える木の幹は会社を支えるベテランさんのよう
なんてそれほど綺麗じゃない社会になぞらえてみる。
でもいつかはそのヒトたちもいなくなり新しいものに変わっていく
唯一変わらないのはここで毎年咲く桜だけかもしれない。
t「空に向かって」
「なんで引っ越しちゃうの」
「ごめんね、親が決めたことだから…」
「うぅ…行かないで行かないでよ…!」
「…ごめんねぇ」
「やだぁいっちゃやだぁ〜」
「う〜ん…そうだ!さみしくなったら空に向かって自分の名前を叫んでよ」
「へ?なんで?」
「同じ空の下にいるんだもん叫んだらきつと声が聞こえるかなって」
「なるほど…?」
「自分もさみしくなったら君の名前を叫ぶから」
「!!わかった!さみしくなったら叫ぶ!」
「ふふ聞こえたらお返事するね」
「こっちだって聞こえたら絶対返事する!」