言い出せなかった「」


言い出せなかったんじゃあない
まだ言ってないだけだ
生憎だが僕は諦めが悪いんだ

ページをめくる


「そろそろ読み終わったかな」
「もうちょっとまって〜」

彼女が読むはこれまでの僕の日記
彼女と出会った日も
友と過ごしたあの日も
旅行に出かけた日も
一人で過ごした日も
何もなかったような日も
欠かさず書いてきたこれまでの日記
一人でいつも書き続けたページの数々
これからは僕らの日記だ
大変かもしれないが
二人で書き始めよう
そしていつか子供ができたら
三人でページをめくりなおそう

8月31日、午後5時


8月31日日曜日　天気晴れ
文化祭開催まであと少しになった...
なってしまった...
まだ大好きな彼女のこと誘ってないんですけど！？
おいまて、まだ慌てるような時間じゃ...あるよ！
慌てる時間だよ！どうすんだよ！　
今日彼女のLINE何回開いたよ！
文字打てよ！
送れよ！
時刻は午後5時を回る
日は長くなったとはいえ、もう綺麗な月が出てきそうな時間である

また今日も送れなかった

ふたり


貴方に忘れられるくらいなら私はふたりめでもいい

素足のままで


素足のままで走ると足が痛くなる
そんな当たり前のことを知る前から
誰かに守られてきた