『遠くの声』
コオモリならば 聴こえるだろうか
イルカだったら 来てくれるかな
必死に叫ぶ 心の悲鳴
どうしてだれにも とどかない
39度で フラフラなのに
微熱のほかの子 心配される
わたしの価値が ないからだろうか
わたしをだーれも 見ていない
大勢の中 入っていても
どんどんみんなが 遠ざかってく
「たすけて」ぼそり しぼり出しても
遠くの声に 羽根はない
わたしは生きては だめなのだろうか
愛されることは ないのだろうか
暗闇の中 サイレンが鳴る
ほおにぽろぽろ 「たすけて」と…
『春恋』
春怨、春興 春うらら
動物たちも サカリの季節
入学、移動に お引っ越し
新年度だから 出会いの予感
初めてのことは はらはら、どきどぎ
脳は勝手に 恋かも?と…迷う
理性で何度も 否定をEnter
春恋なんて 錯覚だから
あなたのことも 否定でEnter
なのに私を 支配する
たとえ 錯覚だったとしても
本気の恋に 悶える四月
『未来図』
なりたい自分になれてるだろうか
余った役目を演じてないかな
グループできると立場が出来てく
どこかで誰もが演者になってく
私は私と孤独になる人
いつでも目立って中心の人も
他人を気にして自分を変えてく
そういう生き方いままでしてたな
結婚したって家族の中でも
パパママ必死にやるのが普通だ
義務とか役目とか責任ともいう
ほんとの自分はとっくに分からない
それでもいまから未来図…書くなら
何歳でもいい、夢追いかけたい
わがままになって未来図…書きたい
迷惑かけても、アタシに会いたい
『ひとひら』
365枚の ひとひらが舞う
ひらひら左右に この手を逃げる
出来損ないの命も ひとひらとなる
落ちたら踏まれて 忘れ去られる
花びらみたいに 咲けたって
諸行無常の 道をゆく
懺悔をしている 暇もなく
三食食べて また眠る
花から離れて ひとひら、ふわり
命の終わりを 抗うように
どうせ死ぬのに 苦しんでいる
せめて手のひら 乗せてあげたい
『風景』
家のリビング 台所
エプロン姿で 怒ってた
料理に洗濯 裁縫も
テレビドラマじゃ 泣いていた
みんなで出掛けりゃ 中心で
必ず何か 食べていた
他人の子供も 叱ってた
不正もキライで しゃしゃり出る
あなたがいたから 楽しくて
あなたがいること 疑わず
あなたがいなけりゃ 風景が
まるで異世界 死んでるようだ
写真はイヤだと 顔隠す
激辛苦手で 僕にくれ
オバケ屋敷も 入れない
ジェットコースター だけは好き
あなたがいたから 騒がしく
あなたといること ウザくなり
あなたを避けてた 風景が
ここにあるのに 死んでるようだ
あなたを探して 見てしまう
あなたがいたらと 思っちゃう
あなたが見ていた 風景は
とても寂しく 死んでるようだ